2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「ベルルスコーニ劇場」いよいよ終演近し

(日経「春秋」2013/11/30付) 「例のごとく、だれも問題の解明など期待していないイタリア式の議論で、夜は更けていった」。脱税で有罪が確定していたベルルスコーニ元首相(上院議員)を上院が追放した。今後6年は選挙に出られない。20年にわたり世を騒が…

「おいしい生活」

(日経「春秋」2013/11/29付) 「金曜日の妻たちへ」のシリーズが始まったのは1983年だった。ちょうど30年前になる。視聴者をもの憂くおしゃれな空気に浸らせた、この不倫物語は大ヒットした。登場する男女はニュータウンに住み、よくホームパーティーを開く…

「ツワネ原則」という考えとは縁遠い日本

(日経「春秋」2013/11/28付) 南アフリカ共和国の首都といえば、プレトリアである。この地名は、都市の中の一地区を指している。2000年、プレトリアを含む広い地域が合併してツワネ都市圏が発足した。いっそ首都の名前もツワネに。そんな機運もある。それは…

TPPの「聖域論」をよそに、世界を視野にひた走る農協もある

(日経「春秋」2013/11/27付) 「ハーゲンダッツ」という名前は北欧風の響きだが、実は米国の会社である。お値段は普通のアイスクリームよりかなり高いけれど、おいしいから人気がある。その味の秘密は原料の牛乳にある。群馬の工場にほぼ一手に供給している…

新しい魅力を世界に伝えようと躍起?

(日経「春秋」2013/11/26付) 私たちにとって大切な10の外国語の中に日本語が選ばれました。英国の国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルから送られてきた。10の言語には順位がある。1位スペイン語。以下アラビア語、仏語、中国語、独語、ポルトガル…

「NPO業界」の経営幹部を募り、関心のある会員70人が耳を傾けた

(日経「春秋」2013/11/25付) 管理職やグローバル人材に絞った転職支援サービス会社、会員の平均年収もサラリーマンとしては高い様子。この支援会社がある「NPO業界」の経営幹部を募る催しを開き、関心のある会員70人が耳を傾けた。募集する3団体は途上国…

「悲秋感覚」

(日経「春秋」2013/11/24付) 「あはれな 僕の魂よ/おそい秋の午后には 行くがいい/建築と建築とが さびしい影を曳いてゐる/人どほりのすくない 裏道を」。立原道造の「晩秋」。昭和戦前期、24歳で世を去ったこの詩人の孤独と傷心が言葉のひとつひとつに…

初めて会って5千万円?

(日経「春秋」2013/11/23付) 闇に埋もれた事実を暴くノンフィクション作家・猪瀬直樹がこの席にいたら、果たしてどんな質問をぶつけたのか。知事選前に猪瀬さんに徳洲会側から5千万円わたっていたことの釈明。選挙に出ることを決めた昨年11月、徳田虎雄氏…

あすから一般公開、東京モーターショー

(日経「春秋」2013/11/22付) 1957年に東京・日比谷公園の広場で開いた第4回自動車ショーは、新顔の参加が目を引いた。オフィス家具の大手メーカーの岡村製作所が、自前で作りあげて出展したのは当時の先端を行くオートマチック車だった。岡村製作所は終戦…

「違憲状態」だった

(日経「春秋」2013/11/21付) 「最高裁はどういうつもりだ」「何でもかんでも違憲判断していいのか」「司法の暴走を止めろ」。婚外子の相続格差を正す民法改正について、せんだって、自民党ではこんな声が噴き出した。最高裁は違憲審査権を持っている。三権…

浅草寺雷門の大提灯、パナソニックが奉納

(日経「春秋」2013/11/20付) おばあさんの皺(しわ)のよりかたにもいろいろあるらしい。縦の皺なら唐傘。縦横なら縮緬(ちりめん)。そしてもっぱら横だと提灯(ちょうちん)ばあさんと言うんだという。金を無心にきたと勘違いされた若い衆が「金貸してく…

自民党改正案の前文は中国憲法と似ている?

(日経「春秋」2013/11/19付) 「人民の人民による人民のための政治」。リンカーン米大統領がペンシルベニア州のゲティズバーグで演説したのは、150年前のきょうだった。理想は日本国憲法にも息づいている。憲法の前文には次の下りがある。国政の「権威は国…

理不尽。特定秘密保護法ができれば、なお募ることになるのか

(日経「春秋」2013/11/18付) 駐留米軍を憲法違反だと断じた判決があった。1959年3月30日東京地裁。裁判長は伊達秋雄。世に「伊達判決」と呼ばれる。その後、裁判は高裁をとばして最高裁に直接上告され、同じ年の12月16日、全員一致で覆されることになる。…

「瓦斯鉄道会社」

(日経「春秋」2013/11/17付) 明治の半ばすぎの東京で、現在の東京ガスで「瓦斯(がす)鉄道会社」の設立準備が進められ、市街のどこに線路を敷くかも描いていたという。残念ながらガスを食い過ぎることがわかって計画はお蔵入りになったが、そのころの企業…

「1つの正解を探しすぎ、訴える力が弱い」

(日経「春秋」2013/11/16付) 試験、確実に解ける設問から手をつけて難問は後回しにする。日本の学生にとって、これが答案用紙を書く手順の王道だろう。だがインドでは違う。デリーで学ぶ日本人留学生、大事な期末試験で1問目から順に回答を書いていったが…

この国は「災後」の像を探し求めている最中だ

(日経「春秋」2013/11/15付) そして「戦後」が終わり「災後」が始まる――。東日本大震災の直後、政治学者の御厨貴氏は、巨大地震と原子力災害の強烈な共通体験を持った日本は転換期を迎え、新しい価値観の社会が生まれるという指摘。「災後」なる言葉はさほ…

ギアナ出身のトビラ法相に子供たちが「お猿さん、バナナを食べろ!」

(日経「春秋」2013/11/14付) フランスのクリスティアーヌ・トビラ法相(61)は南米にある海外県、仏領ギアナ生まれの黒人女性である。10月下旬に仏西部の都市アンジェを訪れたとき、集まった子どもたちが「猿」や「バナナ」をたとえに出して大臣を大声でか…

小中学校の「道徳の時間」を「特別の教科」に格上げ?

(日経「春秋」2013/11/13付) 19歳のザッカーバーグ青年は、大学のコンピューターに侵入して女子学生の写真データを手に入れ、人気投票のサイトをつくってしまう。やがてフェイスブック誕生につながるのである。この手の逸脱は、杓子定規(しゃくしじょうぎ…

つらい経験から日本が培ったノウハウも生かしたい

(日経「春秋」2013/11/12付) フィリピン中部のレイテ島、太平洋戦争の末期、大規模な海戦があった。米軍上陸後には多くの日本兵が命を落とした。日本人にとって、決して遠くの島ではない。そのレイテ島を台風が襲い、死者と行方不明者は1万人とも言われて…

ブレーキなし自転車、出頭応じず初の逮捕 道交法違反容疑

(日経/社会/2013/11/11) ブレーキがない競技用自転車で公道を走行したとして、警視庁交通執行課は11日、東京都内のアルバイトの男(31)を道路交通法違反(制動装置不良)の疑いで逮捕した。男は交通切符(赤切符)を交付されたが、電話やはがきによる計7…

法律の顔を立てることを忘れ、恬(てん)として恥じない自民党

(日経「春秋」2013/11/10付) 囲碁や将棋の棋士が「顔を立て法律の顔を立てることを忘れ、恬(てん)として恥じない自民党である」と言うことがある。「自分が選んできた手の顔は立てなくちゃ」という具合に使う。一局の勝負をどう戦うか決めた以上、途中で…

昭和の日本人の情念を託せる歌い手が去った

(日経「春秋」2013/11/9付) 伊丹十三監督の映画「お葬式」に、泣かせる場面がある。長女が「東京だョおっ母さん」をしみじみと歌い、踊ってみせるのだ。久しぶりに手を引いて 親子で歩ける嬉(うれ)しさに……。 父親が好んだ曲なのだろう。戦後日本の数知…

生のサツマイモを食べ続けると体重が減る?

(日経「春秋」2013/11/8付) 大人のマウスに好きなだけサツマイモを食べさせ続けると、体重はどうなるか。生のサツマイモの場合は体重が減り、加熱調理したサツマイモの場合は増えたそうだ。加熱で消化しやすくすれば、消化のためのエネルギーを節約できる…

大衆薬のインターネット販売、すべて解禁する?

(日経「春秋」2013/11/7付) 「ゆうべはどこにいたの?」「そんな昔のことはおぼえていない」。スクリーンのボギーはため息が出るほどニクい。この伝でいけば5カ月前など大昔で、忘却のかなただろうか。さる6月5日、首相は成長戦略第3弾をぶち上げた。…

結局は画商の欲がピカソやマチスをナチスの蛮行から救った

(日経「春秋」2013/11/6付) 芸術の頽廃(たいはい)に抗して。ミュンヘンで1937年にあった「大ドイツ芸術展」の開会式の様子を、ナチスドイツの宣伝相ゲッベルスは同年7月の日記に残した。これは若くして画家の夢破れたヒトラーお気に入りの美術品ばかり…

いまや監視カメラはいろんなところで目を光らせている

(日経「春秋」2013/11/5付) 「防犯カメラ監視中」。こんな言葉を掲げた黄色いステッカーを東京の地下鉄駅で目にするようになったのは、いつごろだったか。初めて見た時は、いささかぎょっとした。最近は趣を変えつつある。言葉は「監視中」から「作動中」…

「せっかくの機会だから」と計画がどんどん太っていく構図

(日経「春秋」2013/11/4付) ふらり門をくぐると、夕日のなか、市民ランナーがトラックに長い影を落としていた。スウェーデン・ストックホルムの陸上競技場は、日本が初めて参加した101年前の五輪の舞台である。もちろん改修は重ねてきた。しかし、れんが造…

われ転向の危機

(JN) 日本シリーズは終に第7戦に突入することとなった。ゴールデンイーグルスとジャイアンツの闘いを見て思うのだ。この東北と東京の闘いは、震災と原発事故で苦しめられている東北と正力松太郎読売の闘い、否、反原発と原発推進の闘いだ、なんてことを…

100万冊、心の糧がひしめきあって人を待つ

(日経「春秋」2013/11/2付) 本と「目が合う」ことがある。なぜかある一冊に引き寄せられて手に取り、やがて夢中になっていくのだ。たとえば学生のころに場末の古本屋で平凡社版「日本残酷物語」に出合い、以後しばらく没頭したのを思い出す。民俗学者の宮…

日々の買い物は投票であり投資である

(日経「春秋」2013/11/1付) 残念というしかないが、料理の虚偽表示問題が全国に広がりつつある。発端となったホテル以外にも、食材の種類や製法などを偽って、あるいはいい加減に表記していたところが相当数あったという。地元以外の食材を地元産と表記し…