いまや監視カメラはいろんなところで目を光らせている

(日経「春秋」2013/11/5付) 「防犯カメラ監視中」。こんな言葉を掲げた黄色いステッカーを東京の地下鉄駅で目にするようになったのは、いつごろだったか。初めて見た時は、いささかぎょっとした。最近は趣を変えつつある。言葉は「監視中」から「作動中」に。ステッカーの色は白になった。もちろん、変化したのは趣や印象であって、ステッカーから伝わってくるメッセージは似たり寄ったりだ。依然として「見張ってますよ」と宣言している。考えてみれば、いまや監視カメラはいろんなところで目を光らせている。マンションの玄関や廊下、ビルのエレベーター、商店街……。監視中とも作動中とも言わないで黙々とわれわれを撮影しているカメラたちに比べれば、地下鉄駅のカメラには親しみを覚える。だからといって、愉快な相手というわけではないけれど。
(JN) 監視カメラを置かねばならない環境になぜなってしまったのか。この目に守られていると考えることもできようが、やはり監視である。またそれが役に立つ世の中になっているのである。このおかげで、犯人を特定できる訳である。それは監視カメラの無いところでは、自由に犯罪ができるということか。その昔を言っては笑われるが、わが故郷は昭和の40年代ごろまでは、家など人がいなくとも開けっ放しでも大丈夫であった。何も取るものがなかったのかもしれないが、のんびりした時代であった。とにかく、今はそうはいかないが、このカメラを有効に使ってほしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO62103900V01C13A1MM8000/