2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

酒税法改正案、消費者利益は二の次の業界対策

酒税法改正案、消費者利益は二の次の業界対策 (日経「春秋」2015/4/30付) 一升瓶の酒をコップにトクトクトクとついでもらい、立ったまま、近所のオヤジがキューっと一杯。横町の酒屋の店先でよく見た光景だ。「角打ち」などと呼ばれる、こういう立ち飲みが…

マイペースで流れる時間もときに大切

マイペースで流れる時間もときに大切 (朝日「天声人語」2015年4月29日) 機械に弱いと言う人には、食わず嫌いも多いようだ。ある旧知が以前ぼやいていた。若いころ、ごてごてと多機能な腕時計を買ったそうだが、どのつまみを押せば何が動くのか。面倒になっ…

めざす安保体制のわかりやすい説明がなくては

めざす安保体制のわかりやすい説明がなくては (日経「春秋」2015/4/28付) 「我思う、ゆえに我あり」。「よりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること」。「もっとも単純でもっとも認識しやすいものから始めて、少しずつ、階段を昇るように」。デカ…

西暦3737年12月15日、日本の15歳未満はたった1人になる

西暦3737年12月15日、日本の15歳未満はたった1人になる (日経「春秋」2015/4/27付) 新学期が始まって約3週間。窓の外をにぎやかに登校する小学生らに、いくばくかの元気がもらえる。その後に続く中学生はノートを片手に英単語の暗記か。日を浴び、風に揺…

幸福、日本は158カ国のなかで46位と前回よりやや後退

幸福、日本は158カ国のなかで46位と前回よりやや後退 (日経「春秋」2015/4/26付) 凧(たこ)、風船、ブランコ、風車(かざぐるま)、シャボン玉――。春の季語。夏の季語にハンカチ、冬の季語にラグビーもある俳句の世界だが、凧や風船が「春」とは思い切っ…

10年前のきょう福知山線で107人の命が失われた

10年前のきょう福知山線で107人の命が失われた (日経「春秋」2015/4/25付) 「判断に迷ったときは、最も安全と認められる行動をとらなければならない」。JR西日本が掲げた安全憲章にある。10年前のきょう、同社の福知山線が脱線事故を起こし107人の命が失…

利器を凶器に変えて傷つけあってきたのが人間

利器を凶器に変えて傷つけあってきたのが人間 (日経「春秋」2015/4/24付) 種々雑多なオモチャが並んでいる売り場に、ドローンはいた。首相官邸の屋上に落下したドローンは、「模型飛行機」であることに変わりはない。なんと容易に、テロは実行可能なことか…

現実を厳しく見つつ将来への希望を失わぬ

現実を厳しく見つつ将来への希望を失わぬ (日経「春秋」2015/4/23付) 安倍首相がきのうの演説で、「強い者が弱い者を力で振り回すことは断じてあってはならない。法の支配が、大小に関係なく国家の尊厳を守る」と。中国云々はともかく、その通りではないか…

当選した理由は「立候補したから」というわけだ

当選した理由は「立候補したから」というわけだ (日経「春秋」2015/4/22付) 日本でもっとも難しい試験は、剣道八段の審査だといわれる。なにしろ合格率は1%。「七段取得の後10年以上修業し、かつ46歳以上」の猛者が集まり、それぞれ計4回立ち合う。技量…

「中国で最も勇敢な記者」が懲役7年という実刑判決を

「中国で最も勇敢な記者」が懲役7年という実刑判決を (日経「春秋」2015/4/21付) コロンビアに「エル・エスペクタドール」という新聞の編集長だったギョレモ・カノが殺害されたのは、1986年のことだ。麻薬犯罪に対する厳しい報道が麻薬カルテルの恨みを買…

旅の恥はかき捨て。お伊勢参りに出かけた…

旅の恥はかき捨て。お伊勢参りに出かけた… (毎日「余録」2015年04月20日) 旅の恥はかき捨て。「東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)」でお伊勢参りにもあるように、長く日本に根付いたことわざだ。日本人観光客のマナーは向上したが、インター…

誕生から60年を超え人気を保つ架空の生き物

誕生から60年を超え人気を保つ架空の生き物 (日経「春秋」2015/4/19付) ビルのテラスから町を見下ろす怪獣ゴジラの大きな頭部、一見すると、ビルの陰からぬっと顔だけ出したふう。第1作の準備中、東宝社内には「怪獣映画なんて」という空気があったという…

傍観無策では懸念は払えない

傍観無策では懸念は払えない (日経「春秋」2015/4/18付) 能古島(のこのしま)は博多湾に浮かぶ花の島である。約730年前、この小島にもモンゴル帝国軍が上陸、犠牲者が出た。人類史上最大の国家を築く。圧倒的な軍事力だけではない。経済を重視した。巨大…

精神科医の資格で不正

精神科医の資格で不正 (朝日「天声人語」2015年4月17日) 付き添いで驚いたことがある。担当の男性医師は患者の顔をほとんど見なかった。パソコンの画面とにらめっこ。通院先を小さな医院に変えることにした。診察ぶりは一転、女性医師は時間をかけて丁寧に…

グルジアはロシア風の表記なので、英語風に統一したい

グルジアはロシア風の表記なので、英語風に統一したい (日経「春秋」2015/4/16付) ハマザキじゃなくハマサキ。「釣りバカ日誌」の愛すべき主人公、浜崎伝助氏の口ぐせである。自分の名前の呼ばれ方にはこだわる。どういう呼び方をされるかは気にかかるもの…

『ブリキの太鼓』作者逝く

『ブリキの太鼓』作者逝く (朝日「天声人語」2015年4月15日) 作家というよりは農夫に見える。ギュンター・グラスさんは素朴で武骨な印象を与える。代表作『ブリキの太鼓』は素朴どころではない。猥雑(わいざつ)で、滑稽で、愚かしく。ナチズムに絡め取ら…

自主・自律あっての大学だ

自主・自律あっての大学だ (日経「社説」2015/4/14付) 国立大に対し、入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱を求める動きだ。安倍晋三首相は9日の参院予算委で、国立大の入学式などでの国旗・国歌の扱いについて「税金によって賄われていることに鑑みれば…

科学と夢想の宇宙

科学と夢想の宇宙 (朝日「天声人語」2015年4月13日) 石川啄木22歳でノートに書いた歌は、なぜか棒線で消されている。啄木は宇宙が好きだったか、風変わりな「火星の芝居」という散文を残している。「火星の人間は、一体僕等(ぼくら)より足が小(ちいさ…

思いを込めた一票を今日こそ投じたい

思いを込めた一票を今日こそ投じたい (日経「春秋」2015/4/12付) 一夜で村が消える。中世から江戸末期まで、農村で見られた逃散。最近の研究によると、年貢が軽いなどの好条件や豊かな生活を求めての移住「走り」も多かったらしい。藩主や領主は、来る者を…

便利な道具か、進化した「手錠」か

便利な道具か、進化した「手錠」か (日経「春秋」2015/4/11付) 腕時計は市民社会における手錠である――。丸谷才一「たった一人の反乱」、美術評論家が、ある写真家が専門誌の賞を受け、その副賞が腕時計だったことから、評論家の長いスピーチが始まる。昔、…

2本の生命線にまつろう悲劇に、どう目を凝らそう

2本の生命線にまつろう悲劇に、どう目を凝らそう (日経「春秋」2015/4/10付) 「満蒙は日本の生命線」。「南洋は海の生命線」。サイパン、トラック、パラオ……。日本の委任統治下にあった群島には、矛盾をはらみつつも穏やかな歳月が流れていたという。太平…

空路なら3時間足らずが、何十光年もの隔たりに思える。

空路なら3時間足らずが、何十光年もの隔たりに思える。 (日経「春秋」2015/4/9付) 臘梅(ろうばい)、水仙、梅、桜。季節が逆戻りしたかのような陽気のなかでも、咲いては散り行く花が時の移ろいを教えてくれる。星の点描の変化もまた同じだ。冴(さ)え…

学びへのいざないとは

学びへのいざないとは (朝日「(天声人語)2015年4月8日) 子どもの頃の時間はゆっくり流れる。大人になると時間はたちまち経過する。信州大の山沢清人学長は4日の入学式で、脳科学者の言葉を引いた。「周りの世界が見慣れたものになってくると、時間が速…

バレーボールと原爆禍

バレーボールと原爆禍 (朝日「天声人語」2015年4月7日) 39歳で早世した猫田勝敏さんが引っぱった全日本バレー。1972年のミュンヘンで金メダルに輝いた。その正確なトスが目に焼き付いている方も多いだろう。猫田さんが選手として所属していた専売広…

土地は返還されるのが当然で、辺野古への移設は筋が違う

土地は返還されるのが当然で、辺野古への移設は筋が違う (朝日「天声人語」2015年4月6日) 沖縄の墓は大きい。詩人の山之口貘が故郷の墓について書いている。墓の中にむしろを敷いて、三味線に似た三線を奏でる人が出てくる。きのうは二十四節気の清明だっ…

モノや地位よりも仲間の数が幸せ??

モノや地位よりも仲間の数が幸せ?? (日経「春秋」2015/4/5付) 「一度破いてテープで貼った/蒼(あお)いフォトグラフ」。「セピア色に」褪(あ)せている。今のデジタル世代にはピンと来ないかもしれない。破く。燃やす。旅に携える。故郷に送る。当時…

効率優先の過酷な乗務、事故がいつ起こっても不思議ではない

効率優先の過酷な乗務、事故がいつ起こっても不思議ではない (朝日「天声人語」2015年4月4日) 一流シェフやオーケストラの指揮者と同様、パイロットという仕事も創造的であり、ものづくりの匠(たくみ)の技にも似ているという。誇り高い職業である分、厳…

交換は「人間の存在を何か違ったものに変換していく」

交換は「人間の存在を何か違ったものに変換していく」 (日経「春秋」2015/4/3付) 2020年東京五輪を機に、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を交換し建て替える。周辺を大会後もにぎわう地域にする再開発計画だ。取り換えることで、新しい価値が生まれる。…

辺野古、司法に委ねれば解決するというものでもあるまい

辺野古、司法に委ねれば解決するというものでもあるまい (日経「春秋」2015/4/2付) 観光客をサンゴ礁に案内する船頭が海を大切に思っているかどうか。それは船をポイントに止めて、錨(いかり)を沈めるときに分かるという。海を本当に愛している人なら、…

鍵は毎日過ごす職場そのもの、毎日の仕事そのものだ

鍵は毎日過ごす職場そのもの、毎日の仕事そのものだ (日経「春秋」2015/4/1付) 生もと造り、コクがあり深い味わいの酒を造る。欠かせないのが蔵の中の多種多様な微生物だと二本松市の大七酒造。櫂を繰り返し動かす仕事は重労働だが、根気よく続ければ、あ…