2011-01-01から1年間の記事一覧
(日経/春秋)消費税増税、どうせ玉虫色で年越しではと冷ややかだった世間である。野田首相はさすがにそれではまずいと気張ったのだろう。民主党の会議は9時間に及び首相は14分語り続けたそうだ。「逃げたらこの国はどうなるのか」。未来をどうするのか、今…
(日経/春秋)子供たちに笑顔になってもらいたい。被災地へ菓子メーカーがそれぞれに自社製品を贈り、支援を続けた。森永は1984年に会社存亡にかかる事件(グリコ森永事件)により、店頭から商品が撤去された。「どこかでエンゼルは」、だれかが見守ってくれ…
(日経/春秋)仕事納めが過ぎたが、のんびり休みを満喫できない人もいる。例えば、入試前、予備校と受験生たち、代々木は若者の群が黙々と歩く。店に囲まれた中庭に植えた植物が約100種。「100年に一度咲く花」「世界一巨大な竹」「死に対する悲嘆の象徴」…
(日経/春秋)28日は仕事納め、官公庁が明日から3日まで休みと決めたのは明治6年。きょうは急ぎの仕事を片付けて、挨拶回りや身の回りの整理に追われるのだが、大阪はまだそんな雰囲気ではないようだ。橋下市長の施政方針演説がある。橋下人気の勢いはもの…
(日経/春秋)池波正太郎は几帳面で、原稿締め切りに遅れたことがない。年賀状も半年前から準備をはじめる。一方、世間は仕事納めだというのに、社会保障と税の一体改革「素案」がまとまるのはいつなのか。年内に消費税増税の方向性をと、首相の訪中と訪印…
(日経/春秋)数ある家電製品の中でも、最も目覚しく進化を遂げたのは掃除機ではないか。19世紀に米国で誕生し、改善されてきた。今年の日本の大掃除は、特別な意味がある。除染、がれき、原発内部。行政や予算には無駄のチリが積もり嘘や不正が染みつい…
(日経/春秋)「顔ほど正直な看板はない。お山の大将はお山の大将、卑屈は卑屈」と高村光太郎。佐藤忠良は「今私たちのもっている顔が社会背景の中で何を考えている顔なのだろう。・・・・・・これは彫刻家の見逃してはいけない主題です」と。NHKの「坂の上の…
(日経/春秋)まだら狼、上田馬之助さんが先日亡くなった。悪役のオヤジ体形の名レスラーだった。15年前に交通事故でレスラー生活を断念したが、若いころからのボランティア活動を続けた。車いすのサンタクロース、イブの今日、告別式。タイガーマスクが相…
(日経/春秋)「家族ゲーム」、先日亡くなった森田芳光さん。1983年、豊かさを謳歌しつつも、何か空虚。そんな時代の空気を先取りした。今週、高視聴率で幕を閉じた「家政婦のミタ」、古くは「岸辺のアルバム」、郊外家庭の裏の顔を描いた名作が多い。『郊…
(日経/春秋)街中の標識を一晩ですべて外す。1968年の「プラハの春」、バツラフ・ハベル前チェコ大統領が先日、75歳で死去した。「ハヴェル自伝」、旧ソ連軍の侵攻に対して、彼らを道に迷わせようという、逸話が紹介されている。「アラブの春」、「ジャス…
(日経/春秋)対馬と韓国とは飛行機で南に30分、韓国の人々の大人気観光スポットとなっている。なぜか、「それは対馬が外国だからですよ」と李釜山市副市長。北の国境はその逆。まるで異次元世界。「国が分断されている現実が、常に念頭にある」。FTAの…
(日経/春秋)テレビは「特別放送」の予告をした。久しぶりに名物女性アナ、重々しく総書記の業績を並べた訃報。また、20代の三男を「卓越した指導者」と呼んだ。民衆は飢えに苦しむ国。拉致やテロを重ね、核開発を続ける国家に生じた権力の空白。闇の向こ…
(日経/春秋)「XChange」、着た人自身が持ち込んだおしゃれ着の物々交換、始まったのは4年前。持ち込んだ人は値段代わりに、服の思いで記入した札を付ける。手放す人と持ち帰る人がその場で友人になったり、人間関係が広がる。人とのつながりを重んじ、自…
(日経/春秋)ごみ処理はどこの自治体にとっても頭が痛いだろう。小金井市長のように不用意な発言により引責辞任となったが、地域のごみはその地域で処理するという原則である。こと震災の被災地に限ってはそれはどうにもならない。しかし、受け入れは東京…
(日経/春秋)「日本沈没」の最初の章に、ミクロネシアの漁民が登場する。カヌー修理のため小笠原近くの無人島に上陸したところ島が一夜にして沈み日本の漁船に助けられた。牧歌的なエピソードである。ミクロネシアの人々は日本の近海、排他的経済水域(E…
(日経/春秋)人生の記憶は「まるで性格の悪い秘書にあなたの生活記録をつけさせるようなものだ」(D.ドラーイスマ)。忘れたいことばかりせっせと書きとめ、絶好調のときは書くふりばかり。しかし例外もあるらしい。きのう論告求刑があった大阪地検特捜部の…
(日経/春秋)小柴昌俊のノーベル物理学賞を支えた企業、浜松ホトニクス、前の社名は浜松テレビ。テレビ局と間違えられたことがあるそうだが、この社名はテレビの心臓部品を作るために発足した企業であるため。この技術が今度は「ヒッグス粒子」を発見でき…
(日経/春秋)家族そろってテレビを眺めていたら、にわかにラブシーン、お父さんはせき払いをして新聞を広げ、お母さんは思い出したように台所へ。NHKならそういうことはないから安心と思っていたら、いまは様子が違う。性描写や女優の胸元アップ。PT…
(日経/春秋)むかし、モスクワの投票所で、有権者は入り口で封筒を手渡され、そのまま投票箱に入れる決まりだった。それを拒めば、官憲に「我が国の投票は秘密投票だぞ」と。旧ソ連時代のアネクドート(小話)のひとつ。これが過去の話でないらしい。茶番を…
(日経)京都体制終わりの始まり。ダーバン合意。COP17閉幕、温暖化対策新枠組み。 (日経)「H2A]20号機打ち上げ成功。12日午前10時21分。 (日経)奇跡の一本松「生育困難」。根腐り呼吸できず。
(日経/春秋)赤レンガの東京駅と皇居を結ぶ大通り地下の歩行専用通路の両壁がギャラリーとなった。いま「希望」をテーマに写真展が開かれている。素人写真家が被災地を写した作品も多い。いいと思った写真にはその場で投票ができる。1票あたり100円を主催…
(日経/春秋)中国では、10本の指で10匹の蚤はつぶせない、ということわざがある。その中国で「10本の指で15匹の蚤をつぶせる」男、と称される企業家がいる。その男、黄怒波がアイスランドの国土の0.3%という広大な土地を購入しようとし、世界へ名を馳せた…
(日経/春秋)EUでは正式な文章や会議で使う公用語が23か国語もある。ブリュッセルには「通訳総局」という千人を擁する巨大組織がある。多様性を尊重するのが欧州統合の理念であった。だがドイツのある議員からは「欧州では、みなドイツ語を話せばいい」…
(日経/春秋)大本営発表といえば「軍艦マーチ」。陸軍だと「抜刀隊」。発表は対米開戦の1941年12月だけで88本にのぼるという。そのころ慶応で学んでいた安岡章太郎がまるで毎日早慶戦の騒ぎと。海軍は短期決戦で速やかに休戦に持ち込もうとしていた。が国…
(日経/春秋)人生、災いが福に転じることもある。作詞家の星野哲郎は船乗りを志したが、大病を患い断念。闘病中に応募した作品が入選し、作詞家の道へ。自分の歌は「えん歌」と。演歌、援歌、縁歌。「しあわせは歩いてこない・・・・・・」、「三百六十五日のマ…
(日経/春秋)この一週間、喉に骨が引っかかったような感覚が抜けない。一川保夫防衛相の進退の取沙汰となった、前沖縄防衛局長の不適切発言。暴言がオフレコの場で出たということだ。「報道には公共性、公益性がある」というが、約束である以上、相手が市…
(日経/春秋)福島県の面積は全国第3位。浜通り、中通りおよび会津と、地域ごとに風土も人情も違う。浜通りの原発周辺から会津への避難者は1万人。大熊町の多くの住民も、役場とともに会津若松市に疎開している。この人々を受け入れた会津も、戊辰戦争で辛…
(日経/春秋)石井光太の『遺体』、漁師、経営者、役所職員、歯科助手・・・・・。市井の人々が身近の人の体を捜し、運び、確かめる。その体験談が胸に迫る。「東北って復興したんですか」。在京の被災地出身者が聞いたという。現地の映像を目にする機会がめっき…
(日経/春秋)「白チャリ」が注目されている。理由は、警視庁が打ち出した自転車対策にある。「自転車は原則、車道通行。例外として歩道に上がる際は徐行」。安全な乗り方の範を示しつつ、不審者不審物の発見や職務質問などの本業を怠りなきよう願いたい。…
(日経/春秋)万葉集には「譬喩歌」という分類がある。心情をおもてには出さず、別のものにたとえて表現した歌。いにしえの昔から、比喩に親しんできた日本人である。しかし、この組み合わせが思い案のしどころ、しくじるとはなはだ見苦しい。沖縄県知事を…