ギアナ出身のトビラ法相に子供たちが「お猿さん、バナナを食べろ!」

(日経「春秋」2013/11/14付) フランスのクリスティアーヌ・トビラ法相(61)は南米にある海外県、仏領ギアナ生まれの黒人女性である。10月下旬に仏西部の都市アンジェを訪れたとき、集まった子どもたちが「猿」や「バナナ」をたとえに出して大臣を大声でからかったのである。映像に、「お猿さん、バナナを食べろ!」と叫ぶ姿が残る。事件のあと、「罵られるのは初めてではないが、一番驚いたのは、フランス社会が壊れていくことに対するまっとうな警告が聞こえなかったことだ」と大臣は言った。日本でも「ポリティカリー・コレクト(PC)」、女性、人種などに関するあらゆる差別的な表現をなくそうという運動があり、一方では「教条的なPCには飽き飽き」という空気も生まれた。ルモンド紙は「義憤はもはや老いぼれのきまぐれとしかみなされず、かくして卑劣が子どもの遊びになる」と書いた。恐ろしいことである。風潮を支配するのが「PCうんざり」の空気だとしたら。同じ空気に身を置くかぎり無縁ではすまされない。
(JN) 他人事ではない。日本人だって差別されている。ご承知の通り、一般大衆は自分より低い階級のものがあることで、安心ができる。差別された者は、更に自分より低いものを生みだそうとする。大人がそうしていれば、子供だってそうする。そして、子供には遠慮がない。アンジェの人々の気持ちを子供たちは現実化した。この私たちの卑しい心は階層差別意識ある限り直らない。この状態では永遠に続く。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO62553540U3A111C1MM8000/