浅草寺雷門の大提灯、パナソニックが奉納

(日経「春秋」2013/11/20付) おばあさんの皺(しわ)のよりかたにもいろいろあるらしい。縦の皺なら唐傘。縦横なら縮緬(ちりめん)。そしてもっぱら横だと提灯(ちょうちん)ばあさんと言うんだという。金を無心にきたと勘違いされた若い衆が「金貸してくれの提灯のってわけじゃねえ」と啖呵(たんか)を切るのも落語で耳にした。提灯が暮らしの身近にあった名残である。いま、飲み屋の赤提灯と並んで気を吐くのが、東京・浅草寺雷門の大提灯ということになろうか。一昨日お披露目されたのが6代目。病気快癒のお礼に松下幸之助が寄進したことに始まるというこの大提灯、今回もパナソニックが奉納した。ただ、はめ込まれた銘板にはこれまで通り旧社名の「松下電器」とある。どちらでもいいようでも、「松下」のほうが由来が分かるし、和風だし宣伝臭さがない。
(JN) 提灯は家庭内では身近でなくなったが、まだまだ生きている。何と言っても赤提灯は良い看板の役目をしている。寄付寄進者を表すに、よく使われている。何れも中の灯りは電気になったが、我々に様々な表現を送っている。しまう時はあの皺が縮んで小さくなるという優れもの、これが和風を伝える便利なものとして今でも使われているのか。名称も変わらず提灯であり、誰もランタンとは言わない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO62856990Q3A121C1MM8000/