2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

世界中に広がって生き物を滅ぼしている外来種はなに?

(日経「春秋」2014/10/31付) 福島県富岡町のJR富岡駅、線路がどこにあるかさえわからないほど覆い茂ったセイタカアワダチソウ。福島第1原発の周辺では、田畑一面にセイタカアワダチソウの花が咲き、黄色いじゅうたんが広がっているように見えるという。…

反論を押しのけて進むに五輪ほど都合のいい旗印はない

(日経「春秋」2014/10/30付) 真夏の朝7時はもう暑いが、すこし涼しくする簡単にしてとっておきの方法がある。東京五輪組織委員会会長の森喜朗元首相がサマータイム(夏時間)を導入するよう提唱したそうだ。「マラソンをしたら倒れる人がいっぱいいるんじ…

カセット式VTRの開発を発表したのが1969年の今日

(日経「春秋」2014/10/29付) きょう10月29日はソニーの歴史に残る日のひとつだ。カセット式のカラーVTRの開発を発表したのが1969年のこの日だった。オープンリール式を週刊誌の半分ほどのカセットに変え、家庭にVTRが広がるきっかけをつくった。開発…

東大、ここ4年間は86連敗で今季を終えた

(日経「春秋」2014/10/28付) 野球といえば東京六大学という時代が、かつてあった。たとえば1937年に出た吉野源三郎の少年向け読み物「君たちはどう生きるか」には、主人公コペル君らが早慶戦のラジオ中継をまねて絶叫する様子が生き生きと描かれている。と…

破られている規範の代表格、優先席付近での携帯電話利用

(日経「春秋」2014/10/27付) 必要なら守られねばならない。不要なら廃止されなければならない。規範とはそういうものだ。鉄道などの優先席付近では携帯電話の電源を切る――破られている規範の代表格だろう。心臓ペースメーカーなどの医療機器に影響する恐れ…

きょうは「柿の日」だ

(日経「春秋2014/10/26付) 朝食に雑炊3杯、牛乳1合ココア入り、菓子パン2個をたいらげ、昼はカツオの刺し身、粥(かゆ)3杯に梨、ぶどう酒も。間食として団子を4本、塩せんべい、夕食はまた粥を3杯、なまり節、キャベツ……。明治34年秋の病床での俳人…

銃のない社会の良さを実感してもらう

(日経「春秋」2014/10/25付) お子さんのいる家庭などでは、仮装の準備もこの週末が山場かもしれない。毎年10月31日の「ハロウィーン」というお祭りが日本でも急速に普及した。日本記念日協会は今年のハロウィーンの市場規模を前年比9%増の1100億円と見込…

違いを克服して優れた結論を見つけ出す

(日経「春秋」2014/10/24付) 東京・神田の古書店街は奥が深い。未発表原稿や日記など貴重な史料が発見される。先日も哲学者ヘーゲルが書き込みをした自身の最初の著作が見つかった。メモからは当時の様子が窺(うかが)えるという。見つかった著書に早くも…

多様な価値観に誠実に向き合い、考え続ける姿勢を養う

(朝日「天声人語」2014年10月23日(木)) 作家の三島由紀夫は若者に向けて、「教師を内心バカにすべし」と説いた。先生とは生徒に乗り越えられるべき存在なのだと。少年の悩みを大人は理解できない、いかに生きるかは自分で考えよ、教師に理解なんかされて…

「国境なき医師団」は「世界は敗れつつある」と警鐘を鳴らした

(朝日「天声人語2014年10月22日(水)) リチャード・プレストン著『ホット・ゾーン』、米国でのエボラウイルスと医療関係者との格闘を描いたノンフィクション、1994年に翻訳され、ベストセラーになった。未知の病の凄惨(せいさん)さを知り、衝撃を受…

小渕経産相や松島法相、中国だと何でもないのかもしれない

(日経「春秋」2014/10/21付) 「高速鉄道の第一人者」。張曙光・元鉄道省運輸局長に北京の裁判所は先週、執行猶予つきながら死刑を言い渡した。罪名は収賄。日本円にして総額8億円もの賄賂を受け取ったという。張元局長自身は、あの事故の前にすでに失脚し…

その成功は安定して飛べること考えるのをやめたから

(日経「春秋」2014/10/20付) 19世紀末、欧米では、エンジンを使った動力飛行をめざす様々な挑戦があった。その中で1903年に米国のライト兄弟が栄誉を手にした根本の理由は何か。機体を安定して飛べる構造にすることばかり考えるのを、やめたからだという。…

降り注ぐ水、催涙弾を色鮮やかな傘の花が防いでいる

(日経「春秋」2014/10/19付) この夏、川端康成が初恋の女性に書いた手紙が見つかった。恋は破れたが、婚約翌日に撮った写真が残っている。そのときの光景が目に浮かぶ短編「雨傘」がある。霧雨のふる日、少年と少女が思い出にと写真館に立ち寄る。ぎこちな…

送金の際などの本人確認をより強める法律の案

(日経「春秋」2014/10/18付) 銀行の窓口でムッ!としてしまった経験はないだろうか。自分の口座からお金を送るだけなのに、目的やら何やら詳しく聞かれる。「あなたは、本当にあなたですか?」というふうに疑われたり。こんな思いをする人が、ひょっとする…

セルフィーなる新語が定着しつつあるそうだ

(日経「春秋」2014/10/17付) 内田百間は写真嫌いだった。「寿命が薄くなる」と憤慨した。「玄人の仕事の関係は仕方がないとして、そうでない素人がどうしてあんなに写真が取りたいか」と。そんな作家が昨今の「自撮り」ブームを知ったらどんな意見をするだ…

球を投げられる距離が20%、6メートルも縮んだ?

(日経「春秋」2014/10/16付) 「たけしくん、ハイ!」に「野球しててもさ、妹を背中におぶって、レフト守ってるやつがいたんだもんなぁ。そんで打てないから、守るだけなんだもん。……それでも、仲間入って野球やりたいんだよね」。男の子の遊びといえば野球…

いったんは日本人オフ・リミットへと法案を修正する方針を

(日経「春秋」2014/10/15付) 「日本人立ち入り禁止」。終戦後の東京などにはGHQ(連合国軍総司令部)が接収したビルやホテル、住宅があちこちに出現した。占領とはなんと無体なものかと泣いた人は多かったろう。銀今国会での成立がとりざたされるカジノ…

新聞は「中和性」与える議論をしているか

(日経「社説」2014/10/13付) 今週15日から新聞週間がはじまる。ことしは朝日新聞が、報道のあり方が問われる中での新聞週間となった。朝日新聞への批判にからんで、見過ごすことのできない行為が明らかになった。かつて慰安婦報道にかかわった2人の元朝日…

ひとり飯は近代的自由の象徴なり

(日経「春秋」2014/10/13付) 井之頭五郎はテレビ東京系の深夜枠で先月まで4期にわたって放送された「孤独のグルメ」の主人公だ。仕事の合間に立ち寄った店で定食、カレー、回転ずし、などなどをただ食しては、あれこれ独り言を言う。焼肉屋で盛大にカルビ…

自由な情報流通と「忘れられる権利」を、どう共存させるか。

(日経「春秋」2014/10/12付) 中年女性が、母校の中学校を訪れる。就職することになり、最終学歴である中学の成績証明書を求められたという。それは決していい内容ではない。教師は言う。「すでに破棄したという書類を作りましょう」。当時の成績保管期間は…

ペンネームで「女の子にも教育を」

(日経「春秋」2014/10/11付) 「どの子がマララだ?」。答える間もなく銃声3発。生死の間をさまよった少女は17歳になりノーベル平和賞に決まった。パキスタンのマララ・ユスフザイさん。ノーベル賞史上最年少の受賞だ。女性が笑うことさえ禁じるイスラム過…

同じ価値観を持つはずの国で異常なことが起こった

(日経「春秋」2014/10/10付) 似たような話が日本になかったわけではない。売春防止法の制定をめぐる贈収賄、世にいう売春汚職について書いた記事の中身が名誉毀損にあたるとされ、読売新聞社会部の敏腕記者、立松和博が東京高検に逮捕された事件があった。…

幼い日の情熱を保つのは難しい。可能性を追い続けた。

(日経「春秋」2014/10/9付) 宮沢賢治の作品には様々な石が出てくる。小学生のころから熱中し、「石コ賢さん」と呼ばれた。銀河に浮かぶ地球。億万年の歴史が凝集した鉱物が放つ輝きに心奪われた。ノーベル物理学賞を受ける赤崎勇教授も虜(とりこ)になっ…

「退屈な若者たち」をこそ狙っているに違いない

(日経「春秋」2014/10/8付) 空港での自動小銃乱射、ハイジャック、大使館占拠……。1970年代を中心に世界中でまがまがしい事件を続発させた日本赤軍、国内で活動していた赤軍派メンバーらがひそかに出国、パレスチナゲリラと手を結び国際社会を震え上がらせ…

天災には、人の気持ちを結ぶ力があるらしい

(日経「春秋」2014/10/7付) 列島に混乱の渦を起こした台風18号が足早に去っていった。できればもう来てほしくないが、思いを新たにさせられることも2つある。過ぎ去った後の青空の美しさ。そして、普段は忘れがちな人間の絆だ。緊張した車掌や駅員の声か…

障害があっても、全力で克服する。それを社会が応援する。

(日経「春秋」2014/10/6付) 障害者の国際的なスポーツ競技会がパラリンピックと呼ばれ始めたのは、1964年の東京大会からだ。この大会ではパラリンピック本来の意味である車いす競技としてアーチェリー、トラック競走など14種目が開かれ、出場者は21カ国387…

鵺か、「無理な論法」を安倍内閣

(朝日新聞「天声人語」14年10月05日) 「見る者の視点によって姿の変わる鵺とも言うべき奇怪なものと成り果てている」。集団的自衛権の行使を認めた7月の閣議決定をそう批判し、撤回を求める報告書がまとまった。憲法学者や元官僚らによる「国民安保法制懇…

地方創生、人口維持、観光客誘致・・・・・・・

(日経「春秋」2014/10/4付) もしも世界が日本の街づくりをまねしたら? 東洋文化研究者のアレックス・カー氏がそんな発想で合成写真を作り、近著「ニッポン景観論」に掲載している。例えばイタリアの港町ベネチアでは、小舟の行き交う運河が埋められ4車線…

地底の様子は容易にはつかめない

(日経「春秋」2014/10/3付) ゲーテは経済の専門家だった。主人公が恋に悩み自殺する小説で、全欧州を熱狂させただけではなかった。ワイマール公国の宰相として税・財政分野でも腕を振るった。着任当時、国庫は赤字続きだった。新しい財源として古い鉱山に…

裁判員裁判が抱える二律背反の難問をただちに解決できる方策はない

(日経「春秋」2014/10/2付) 検視の本を捜査関係者に借りて読んだことがある。ところがカラー写真を使った解説に堪えられなくなり、半分も見ないうちに閉じてしまった。忘れていたその本の記憶が、おととい福島地裁であった判決のニュースを聞いてよみがえ…