2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

日本語は恐るべきスピードで変わっていくのかもしれない

(日経「春秋」2013/4/30付) 辞書をつくる人々を描いた映画「舟を編む」、気になる言い回しに触れるたびカードに書き込んでいくのだ。新語や若者言葉をどこまで載せるべきか。辞書づくりに携わる人は大いに苦心しているに違いない。「春秋」でも先日、「真…

今年の流行語大賞は「じぇじぇ」で決まり?

今年の流行語大賞は「じぇじぇ」で決まり? (日経「春秋」2013/4/29付) 今年の流行語大賞は「じぇじぇ」で決まり? NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」に登場する言葉だ。大人も子供も、まねをし始めているそうだ。話の軸になる一家の女性の生き方が三…

日本が一つになってお祝いできないのに

(日経「春秋」2013/4/28付) 瀬戸内海を島伝いにまたぐ瀬戸大橋が開通したのは25年前、1988年の4月である。これで本州と九州、北海道、四国がトンネルや橋を通って行き来できる「日本列島陸続きに」。そのころ、「皇太子殿下(現在の天皇陛下)が沖縄を気…

初めての取り組みとしてレインボーウイークが始まった

(日経「春秋」2013/4/27付) 20世紀の英国で最高のイノベーションは何か。英国の科学者の団体は先ごろ、こう問いかけ広く投票を募った。1位に選ばれたのは数学者チューリングによる「万能機械」の理論。いまやプロ棋士さえも凌(しの)ごうかというコンピ…

連休分散化から横並びの社会にちょっと変化を

(日経「春秋」2013/4/26付) あすから大型連休。どこかに旅に出たいけれど、いいホテルや旅館はもう満杯だったりひどく割高だったりで手が出ない。このゴールデンウイークの時期は旅行者の短期集中が激しいようだ。道路や鉄道も大混雑、行列の長さにお父さ…

サービス向上で顧客の信頼を得よう

(日経「春秋」2013/4/25付) 岩崎小弥太は、1920年、設立後まもない三菱商事の幹部を集めて開いた会議でのスピーチで、競争にのめり込み、成績をあげるため手段を選ばないようになっては残念だ。取引先に頼み込み、特別な計らいで商品を買ってもらう例も多…

参拝で波風を立てるより、あらためて靖国のあり方を問う

(日経「春秋」2013/4/24付) 物言いはズケズケ、ちょい悪ファッションで若者にも人気、副総理で財務相の麻生太郎さん、海外でもなかなかの存在感だという。首相を務めた人の余裕でもあろう。かように注目される大物なのだから、ここは自重する手もあったは…

果たしてプロ棋士の顔がつぶれたのか

(日経「春秋」2013/4/23付) 曇ったり染まったり。売ったり貸したり、ときには火も出る。「顔」にからむ成句を知っていれば、日々の暮らしや心の動きをあらかた言えてしまいそうである。プロ棋士とコンピューターソフトが5対5で対戦した将棋の「電王戦」…

管理が進んだ学校めいた都市が文化を生むのは難しい

(日経「春秋」2013/4/22付) 深夜ラジオといえば、かつて若い世代の解放区だった。そんな自由な空気が残るTBSの深夜番組「ライフ」で先日、「夜遊び」というやや際どいお題で3時間、若手論客が意見を交わした。夜だからできる話があり、夜だから生まれ…

自分たちを受け入れた米国の社会を、なぜ憎むようになったのか

(日経「春秋」2013/4/21付) 小学校でグループに分かれて遊ぶことがある。ふと気づくと自分ひとり外れていたときなど、泣きたい気持ちになるものだ。駆け寄ってきて「おいでよ」と声をかけてくれる友達もいる。爆弾テロの犠牲になった8歳のマーティン・リ…

水俣病の争いには病像論と、被害拡大をめぐる責任論があった

(日経「春秋」2013/4/20付) 「病像」という言葉は広辞苑にも載っていないから、医学の専門用語なのだろう。昨年亡くなった原田正純さんは膨大な臨床例をもとに、この病気をあぶりだした研究者だ。水俣病には急性劇症だけでなく慢性も軽症もある、症状はい…

ドイツ人夫妻に夫婦茶碗、茶碗を前に奥さんがさっと大きい方を

(日経「春秋」2013/4/19付) しまったと思ったがもう遅かった、阿部謹也が書いていた。ドイツ人夫妻に夫婦茶碗(めおとぢゃわん)を贈った思い出である。大小の茶碗を前にした夫妻、奥さんがさっと大きい方を取って「これ、私の」。日本で当たり前のことが…

21世紀に世襲の独裁体制を敷いている国

(日経「春秋」2013/4/18付) 隋の第2代皇帝、煬帝のものとみられるお墓が中国の江蘇省で見つかったそうだ。日本人にはなじみ深い名前だ。「日出(い)づる処(ところ)の天子、日没する処の天子に書をいたす」。こんな書きだしの国書を、聖徳太子とおぼし…

全力でテロを封じ込めてきた米国の衝撃は大きい

(日経「春秋」2013/4/17付) 村上春樹さんは20年ほど前、米国ボストン近郊に住んでいた。まだ12月なのに「まるで大事なデートの前日の午後みたいにそわそわとして……」と当時のエッセーにある。19世紀末に始まり、市民ランナーをかくも高ぶらせてやまぬ祭典…

異端の俳優の訃報

(日経「春秋」2013/4/16付) 俳優の三国連太郎さんは、反体制の詩人ヨシフ・ブロツキー氏の受賞講演録「私人」をいつも手元に置いていると本紙夕刊「こころの玉手箱」に書いていた。中学の軍事教練を嫌悪し、出征して多くの仲間を失った三国さんは、復員し…

東京ディズニーランド30周年 開園前に1万5000人

(日経2013/4/15) オリエンタルランドが運営する東京ディズニーランド(千葉県浦安市)が15日、開業30周年を迎えた東京ディズニーランドには午前8時の開園に合わせて約1万5千人が列を作った。加賀見俊夫会長が「今日は新しい歴史の始まり。東京ディズニ…

日本の鉄路には夜行列車がひしめいていた

(日経「春秋」2013/4/14付) 新幹線が登場するまで、日本の鉄路には夜行列車がひしめいていた。「銀河」「すばる」「瀬戸」「明星」「いこま」「彗星」「あかつき」……。往年の時刻表を見ると、こういう列車がほぼ10分おきに出ている。酒食を楽しむのも眠り…

つらい過去の真相を知る旅に出る

(日経「春秋」2013/4/13付) 飛ぶように売れる、とはこういう光景を指すのだろう。新作小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の話だ。ここまでの人気の理由は何なのか。自分が小説で語ろうとすることは何か。村上さんは、「人間は生涯に何かひ…

爪の粉ほどの間に刻まれた人類の歴史

(日経「春秋」2013/4/12付) 宇宙が生まれたのは通説の137億年前より古く138億年前だった、というニュースが最近あった。両腕を目いっぱい左右に広げて右手の指先から左手の指先までを宇宙の年齢だとすると、爪をやすりで一擦りするだけで人類の存在など消…

日本人は元気をなくしたけれど大人にもなったが

(日経「春秋」2013/4/11付) バブル期につくられたテレビドラマをいま見返すと、いろいろ「発見」がある。あのイケイケ調は間違いなく時代の勢いを映していた。経済の中身はさほどでもないのに株や土地が狂おしいまでに上がり、余得にあずかった人々は街で…

「ボール紙の男たちより、鉄の女の方がよっぽどましさ」

(日経「春秋」2013/4/10付) 「ボール紙の男たちより、鉄の女の方がよっぽどましさ」。イギリスの総選挙でサッチャーさん率いる保守党が勝った日の夜の景色を、「ヨーロッパ」(F・ルイス著)はそんな逸話で伝えている。サッチャー元英首相の訃報にあらた…

援助の名で官庁ビルや病院を次々と建て影響力を強める中国

(日経「春秋」2013/4/9付) 座席の間のひじ掛けを実効支配するのは、大きな方の客だろう。海外で乗る飛行機のエコノミー席で、しばしばお目にかかる場面である。空中に持ち上げる重さが違っても、1人分の航空運賃は同じ。小柄な人は、正直なところ、ちょっ…

株高が「期待外れ」に終わった場合の反動が気になる

(日経「春秋」2013/4/8付) 株式投資のセミナーがにぎわっているそうだ。20代の、初心者とおぼしき人たちの姿も目立つ、と耳にした。昨年の11月14日に当時の野田佳彦首相が衆院解散を明言してから、日経平均は実に48%上がった。安倍さん、いまや首相として…

痛車

(日経「春秋」2013/4/7付) 痛車の人気が広がっている。読みは「いたしゃ」。車体に、アニメやゲームのファンが、美少女キャラクターのイラスト。ついに、トヨタグループが今月、ある人気作品の「公式痛車」を発売した。アニメ「ガールズ&パンツァー」、こ…

「夢解読」

(日経「春秋」2013/4/6付) 「やどりして春の山辺にねたる夜は夢の内にも花ぞちりける」(紀貫之)。寝言でも口走らないかぎり夢の中身は人には知られまい。そう思っていたら、脳の活動を調べてそれを当てる研究が進んでいるのだという。将来は人の心をのぞ…

「日銀は鎮守の森のようにありたい」

(日経「春秋」2013/4/5付) 終戦の翌年に日銀総裁に就任した一万田尚登氏も、その静かで落ち着いた様子にひかれた一人だ。「日銀は鎮守の森のようにありたい」と言っていた。GHQ(連合国軍総司令部)から一目置かれ、権勢をふるい、言動を経営者は注視し…

「いばった建築は嫌い」

(日経「春秋」2013/4/4付) 新しい歌舞伎座は和風の建物と高層ビルを一体化した造りである。空に伸びる縦の直線と、瓦屋根のなだらかな横の曲線が、美しく溶けあっている。設計した建築家の隈研吾さんが「いばった建築は嫌い」と話していた。建物は自己主張…

風蕭々としてエキスイ寒くてね

(日経「春秋」2013/4/3付) みずから退路を断つ。こういう壮士風が日本人は昔もいまも嫌いではない。日本維新の会が初の党大会で承認した新しい綱領も「風蕭々……」の気分だろうか。いわく「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的…

流の芸を見たい人だけが見てくれればいい

(日経「春秋」2013/4/2付) 大正期の「中央公論」、マンネリが気になると社長が「少し新人にも原稿を頼んだらどうか」と忠告すると、辣腕で知られた編集長の滝田樗陰(ちょいん)は言い放ったという。「中央公論は歌舞伎座です」。こころは「一流の芸を見た…

人のためになる仕事をしたい大学生はこの10年で倍増した

(日経「春秋」2013/4/1付) きょう多くの職場で、若い人々が新たな仲間となる。昨年春の調査だが、日本生産性本部が新入社員に「仕事を通じてかなえたい夢があるか」と聞いたところ、イエスという人が7割を超えたそうだ。ただし、秋に社会人1年生へ同じ質…