2010-01-01から1年間の記事一覧
(日経/春秋)悲喜こもごもの年が暮れる。街中ですれ違う人々、様々な表情。楽しいことがあれば小さなことでも明るい気分になれる力がある。楽しいばかりの一年ではない。民主党の迷走、不況、尖閣諸島、猛暑。来日したインドネシア人の記者が「日本人の顔…
(日経/春秋)住友家は総理という職を置き、1877年に病気の当主の相理代人に広瀬宰平を指名。広瀬は指導力を発揮し、海運や製鉄に進出し、企業統治改革も断行。住友家の権限を弱め雇われ経営者が事業の意思決定を担うルールを設けた。これに対して昨今の日…
(日経/春秋)最初につけた曲名は「恋のカーニバル」、山本リンダの1972年の「どうにもとまらない」。この年、「日本列島改造論」により、不動産や株価の高騰もどうにもとまらない。良いタイトルは「その言葉そのものが大衆の関心を引き付けるようなもの」…
(日経/春秋)理屈と膏薬はどこへでもくっつく。民主党がたちあがれ日本に連立政権入りを打診。路線はずいぶん異なる、さすがに理屈をどんなにつけても難しい。国会を乗り切る算段。自民党もかつて社会党と組んだのだから融通無碍なことか。民主党も自民党…
(日経/春秋)「所得倍増計画」、50年前のきょう池田内閣が決定した。この経済政策を推進したのが池田勇人、経済学者の下村治、宏池会事務局長の田村敏雄。沢木耕太郎さんは『危機の宰相』で「池田が時代のであり、下村がそのであるなら田村は時代へのその…
(日経/春秋)ナポレオンとバルザックが「国の中で最も強い権力の持ち主」として恐れたのが予審判事であった。今の日本に予審はないが、ザックリした言い方をすれば、それは特捜検事である。どちらも捜査権限を持ちつつ、裁判にかけるか否かを決められる。…
(日経/春秋)発足したのは2001年1月、今年3月で打ち止めになった「平成の大合併」。プラス効果、日本全体でこの10年で市町村の数が47%減った。地方行政は今も無駄が目立つが、痛みを伴う改革が多少は進んだ印象がある。11年度予算は2年続けて税収を上回る…
(日経/春秋)日本を代表する大企業の事業戦略会議、戦略とは似ても非なるものの発表に終始。目標設定それ自体を戦略と取り違えていたり。手段と戦略の混同。最後は「不退転の決意で」といった気合と根性で締める。これなら誰でもリーダーが務まりそう。よ…
(日経/春秋)「鶴の万声」、鹿児島県の出水平野、ナベヅルやマナヅル。鳥インフルエンザがこの地にも及んだ。ナベヅルの9割、マナヅルの5割がここで越冬。感染が広がれば種の途絶えかねない。ここは日本一の養鶏王国でもある。今シーズン1万3000羽、昔から…
(日経/春秋)ピアノを製作する楽器職人は5年ごとにショパンコンクールに合わせて音作りの技を競う。大作曲家の誕生二百年にあたる今年は日本の音楽界、大きな敗北と勝利を一度に味わった。コンクールに日本から17人のピアニスト参加したが上位に行くことな…
(日経/春秋)三菱財閥が草創期につくった会社規則は、斬新であった。トップの権限をはっきり打ち出した。「会社ニ関スル一切之事・・・・・・都テ社長之特栽ヲ仰グベシ」。すべての意思決定は社長の岩崎弥太郎がく出すとした。トップの権限の集中は暴走を招く恐…
(日経/春秋)今年の話題や流行を振り返る季節。サッカーW杯、富士山に若い女性、探査機はやぶさ。旅先として人気は「パワスポ」。この登場は5年ほど前、主に米国やオーストラリアの先住民の聖地。今や日本の信仰の場や自然が、それに代わった。若者は日本…
(日経/春秋)平らな台の上に空の椅子。その前で5羽の鶴がたたずみ、傍らに立つ男性は手を広げて誰かを迎えるようだ。中国・広東省の新聞が1週間前に掲載した写真、反響を呼んでいる。劉氏がノーベル平和賞式に出られなかったことへの「暗黙の抗議」だと。1…
(日経/春秋)紙筒の束を抱えた企業戦士がオフィス街を駆け巡る。社名やロゴの入ったカレンダー、大半はゴミ箱に直行。業界推定で1億2千万冊、6割が企業のPR用、その内実際に壁に掛けられるのは何分の一か。企業には語りたい主張があり、暦のデザインに経営…
(日経/春秋)西郷隆盛の名言のひとつに「児孫のために美田を買わず」、甘やかすだけで本人のためならないという警句である。俗に3代目は身上をつぶすといわれるが、どうだろう。韓国サムスン電子の社長に3代目。北朝鮮も3代目か。菅政権が税制改正で法人…
(日経/春秋)手塚治虫さんの「アポロの歌」、1970年ごろ大胆な描写をめぐって物議をかもし、一部の県では有害図書に。時は移り、漫画やアニメは世界に誇れる産業に。しかし、奔放自在な表現ぶりがその真骨頂なだけに、しばしば世の良識とぶつかり合う。都…
(日経/春秋)大一番を制した白鵬が手にする懸賞のような束を手に郵便局へ急ぐ方もいるだろう。きょうから年賀状受け付け。脚本家・内館牧子さんの「家族の年輪賀状」の中に、孫の写真つき賀状を送ってくるのは大半が男たち。携帯の待ち受け画面にも孫の写…
(日経/春秋)熊本県水上村と宮崎県椎葉村の間に「和界」と書かれた碑がある。県境が明治の廃藩置県から約140年ぶりの決着。まだ県境が定まっていない地域は全国にまだ14か所ある。普通の土地もあいまいで地租改正時の資料をまだ地図に利用している地籍未整…
(日経/あすへの話題)水ビジネスが注目されている。地球上の水のほとんどは海水、淡水は0.007%。現在は上下水、工業用水など合わせて36兆円の市場規模があり、2025年には86兆円になると試算されている。世界の「水メジャー」と呼ばれるフランスのヴェオリ…
(日経/春秋)クリスマスケーキ、女性になぞらえた時代があった。24を境に値が下がる。1947年から3年間の出産ラッシュで生まれた女性が23歳から24歳で次々に結婚。翌年には出産、71年から74年の第2次ベビーブーム。いま30代後半となった団塊ジュニア世代の…
(日経/春秋)ツタンカーメンの墓が見つかった時、棺の上には枯れた矢車草が置かれていた。王妃がささげたとされ、どの黄金よりも美しかったと、ハワード・カーター。明日香村からも古(いにしえ)の人の心情が伝わる。斉明天皇孫娘の石室が出土、早世の皇…
(日経/春秋)地下鉄が日本に開通したばかりのころ、よく知り合いに会ったそうだ。外が真っ暗なので車内をきょろきょろしたから。今は携帯、ゲーム、本と、人を観察する必要がない。そんな傾向に拍車がかかる。シャープの「ガラパゴス」、ソニーの「リーダ…
(日経/春秋)「去り状に無筆は鎌と椀を書き」と江戸川柳。字を知らない夫が離縁の際に「かまわん」と、つまり再婚しても構わん。三行半、自由の身の証し。お互い構わんとのはずが、ズルズルと復縁、民主と社民。来年の国会を乗り切るためなら構わん構わん…
(日経/春秋)ドイツ、教育水準が高いのは当然と思っていたが2000年PISAはショックであった。32か国中、読解力は21位、数学と科学は20位。ショックに奮起して教育改革を進めて、じわじわ順位を上げてきた。今回の日本の成績は悪くないが、最高でもない…
(日経/春秋)クリスマスソング、あえて一曲推薦してみたい。ジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」。「戦争は終わった」という副題の通り、平和を願うメッセージが胸をうつ。発表は冷戦のさなか1971年。その後、1980年12月8日、40歳の若さで凶弾に斃れ…
(日経/春秋)公営の職業紹介施設は1911年、当時の東京市が浅草と芝に開いたのが始まり。そのころから商業紹介施設には、求職者が自分でも気づいていない適性を見極め、その人に合った仕事を提案する力が問われた。官営のハローワークが幅をきかせる現状、…
(日経/春秋)年寄りだけの世帯は食事が手軽なものに偏りがちだ。これでは健康を損ないやすいと、昼だけでも栄養に気を配った料理を食べてもらおうと、医師や保健師が食堂を開いた町がある。青森市の浅虫地区。元スナックを利用し7年前に誕生した。遊休地で…
(日経/春秋)「水滸伝」の武松は梁山泊に加わる前に、兄嫁とその密通相手を殺害して犯罪者となった。この兄嫁が兄を毒殺に使ったのが「砒霜」、ヒ素の酸化物である。この猛毒を食べて成長する細菌が見つかった。DNAの一部が生命の必須元素のリンがヒ素…
(日経/春秋)藤山寛美さんは、遊びっぷりが見事であった。松竹新喜劇のプリンスと呼ばれ、「遊ばん芸人は花が無うなる」を信条にし、借金の山もつくった。「アホ」を演じて258カ月の金字塔を打ち立てた。ところで、人気の若手歌舞伎俳優は酒席でトラブ…
(日経/春秋)なぞなぞ、「水」の姿荷は何種類あるか。10年ほど前のドイツの主婦の間で流行ったジョーク。答えは4種類、「水」、「氷」、「水蒸気」そして「トマト」。欧州の経済統合でオランダのトマトがドイツに流れてきた。安く消費者は飛びついたが、…