「日銀は鎮守の森のようにありたい」

(日経「春秋」2013/4/5付) 終戦の翌年に日銀総裁に就任した一万田尚登氏も、その静かで落ち着いた様子にひかれた一人だ。「日銀は鎮守の森のようにありたい」と言っていた。GHQ(連合国軍総司令部)から一目置かれ、権勢をふるい、言動を経営者は注視した。ただ本人は「日銀が注目されるのは経済が悪いときだ。目立たないのが一番」と考えていたという。それで「鎮守の森」になぞらえてみたのだろう。黒田東彦新総裁が率いる日銀が本格的に動きだした。世の中に出回るお金を増やし、企業や家庭が借りやすくする金融緩和では新しい手法を打ち出し、市場は大きく反応した。「静かに目立たず」とは、とてもいかない。植物生態学者、宮脇昭氏の著書「鎮守の森」によれば、古くからその土地に根を張ってきた木々は災害に強く、地震や台風でも倒れない。日銀が頼りにされるのも、今が苦境脱出への正念場だからだろう。日銀が「鎮守の森」のように、後ろでどっしり構えていればいい日はいつ来るか。
(JN) 黒田氏は見てくれの良い松を植えてくようでは、根が浅く、不況・恐慌の津波に流されてしまう。葉っぱが落ちたり手入れに手間がかかるが、「鎮守の森」に似合う広葉樹を植えて、深く根の張った行動をすることができるであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53614410V00C13A4MM8000/