「夢解読」

(日経「春秋」2013/4/6付) 「やどりして春の山辺にねたる夜は夢の内にも花ぞちりける」(紀貫之)。寝言でも口走らないかぎり夢の中身は人には知られまい。そう思っていたら、脳の活動を調べてそれを当てる研究が進んでいるのだという。将来は人の心をのぞいたり精神疾患の診断に使ったりできるかもしれない。米国ではオバマ大統領が「21世紀の挑戦」とうたって国を挙げた「脳活動解明計画」をぶちあげたばかり。夢の謎解きも世界の関心につらなる研究なのである。「夢解読」という見出しの新聞が多かったが、一紙にだけ「夢の内容ばれる?」とあった。起き抜けに思い出す夢には恥ずかしくて人に言えぬものがたくさんある。科学の進歩にふとたじろいで見出しをつけた同僚の気持ち、分かる。
(JN) 夢は自分のものだけにしておきたい。それどころか、脳の活動を他人が分かってしまうなんて、勘弁してもらいたい。科学とは人のことなどお構いなく進んでしまうもの。過ごし難かろうが関係なく、発展する。それが夢見る科学である。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53661310W3A400C1MM8000/