サービス向上で顧客の信頼を得よう

(日経「春秋」2013/4/25付) 岩崎小弥太は、1920年、設立後まもない三菱商事の幹部を集めて開いた会議でのスピーチで、競争にのめり込み、成績をあげるため手段を選ばないようになっては残念だ。取引先に頼み込み、特別な計らいで商品を買ってもらう例も多かったなかで、サービス向上で顧客の信頼を得ようと訴えた。強調したのは良心に恥じない行いの大切さだ。三菱自動車の軽自動車のリコール、国土交通省は法令違反はなかったとの調査結果を出した。うその報告などはなかったためだ。だが同社は何度も不具合の情報を寄せられながら、よく調べずに、リコールに踏み切るのが後手に回った。とても良心的な対応ではない。企業に求められる規範として、法令を順守する「コンプライアンス」がある。本来の意味は「あるべき姿にしたがう、ならう」だ。岩崎の呼びかけから90年以上たつが、三菱グループの隅々にまで浸透させるのは容易ではないようだ。
(JM) 資本主義の発展に大事なのが信用である。流通を活動を行う中で、お互いが信頼し合い、双方の信用が高いほど安く良いものを提供できる。明治からはじまる三菱の歴史、信頼がこれだけの大きな企業にしたのであろう。この名を世に残すためには、信頼を戻さねばならない。それは信頼できる技術を取り戻すことでもある。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54361820V20C13A4MM8000/