果たしてプロ棋士の顔がつぶれたのか

(日経「春秋」2013/4/23付) 曇ったり染まったり。売ったり貸したり、ときには火も出る。「顔」にからむ成句を知っていれば、日々の暮らしや心の動きをあらかた言えてしまいそうである。プロ棋士とコンピューターソフトが5対5で対戦した将棋の「電王戦」が、プロ側の1勝3敗1引き分けに終わった。しかし、果たしてプロ棋士の顔がつぶれたのかどうかは微妙なところだ。かの大山康晴名人は座布団のしわのより具合で相手の心中を推し量ったという。電王戦の第4局で不利な将棋を粘って引き分けに持ち込んだ塚田泰明九段(48)は、対局後に感極まって涙を浮かべたそうだ。それやこれやが顔持つ身から伝わる真の面白さだ。
(JN) 生き者には表情がある。ゲームは正に生き者同士の闘いである。相手の心の隙を見つけて、攻撃を行う。表情は良くも悪くも出てしまう。そこに勝負の面白みがある。私たちは何のために将棋をするのか、それに合わせて今後は将棋ソフトを、特に表情が出るように、面白おかしく作ってほしい。負けてくれなきゃ買わないよ。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54278490T20C13A4MM8000/