10年前のきょう福知山線で107人の命が失われた

10年前のきょう福知山線で107人の命が失われた
(日経「春秋」2015/4/25付) 「判断に迷ったときは、最も安全と認められる行動をとらなければならない」。JR西日本が掲げた安全憲章にある。10年前のきょう、同社の福知山線脱線事故を起こし107人の命が失われた。その教訓を忘れぬよう翌年に定めた5項目のうちの、第4項の全文だ。この一文が冒頭にあってもよかったのではないかと感じる。国交省の報告書によれば、ミスによる運行の遅れを取り戻そうと焦る運転士の速度違反が事故につながった。背景にミスへの厳しい懲罰制度があったとされる。同社が設けた教育施設の名前は「鉄道安全考動館」。今年の新入社員は当時の小中学生。事故の記憶も薄い。世代交代が進んでも緊張感を受け継いでほしい。そうすれば、運送や食品、医療、建設など人間の命を預かるすべての企業の範に、いずれなるかもしれない。
(JN) 私たちは、それぞれの仕事において、様々な形でそれぞれの命に影響している。しかし、日々、その仕事の繰り返しの中で、慎重さやその作業の意味を忘れてしまうことがある。それは、それぞれの者の能力により、開きがある。それを忘れないように、例えば、駅のホームで繰り返される指さし確認がある。側から見ているとなぜ、毎度毎度と滑稽にさえ思えるが、これが大事なのであろう。滑稽ではなく、格好良いのである。そして、この格好良いことが何のためであるのか、作業する者は常に理解していくことが必要である。そうしないと滑稽なことをやっているだけになる。素晴らしい安全憲章をつくろうと、その趣旨を理解しなければ、ただの項目である。まずは人の命を守る安全行動である。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO86141160V20C15A4MM8000/