マイペースで流れる時間もときに大切

マイペースで流れる時間もときに大切
(朝日「天声人語」2015年4月29日) 機械に弱いと言う人には、食わず嫌いも多いようだ。ある旧知が以前ぼやいていた。若いころ、ごてごてと多機能な腕時計を買ったそうだが、どのつまみを押せば何が動くのか。面倒になって引き出しにしまい込んだそうだ。そんな昭和おやじが、久しぶりに会ってみるとスマホを手放せないと言う。さて、旧知は興味津々だろうか。スマホの機能を載せた腕時計型の端末がメディアをにぎわせている。携帯の普及で時計をしない人が増え、その手首を狙う作戦かと思われる。振り返れば、時計も懐中から腕に移った。腕に巻けば置き忘れや紛失も減ろうが、縛られている感じも強くはないか。これまたアナログ人間の食わず嫌いかも知れないが、「時計屋の時計春の夜どれがほんと」久保田万太郎。ゼンマイ巻きの柱時計だろう。春の宵、針がまちまちな時間をさしている。便利な道具に追われず、マイペースで流れる時間もときに大切。どうです、この連休。
(JN) 私は、腕時計をしない。それは、時間に縛られないためと言う、カッコいい理由ではない。汗疹ができるし、鬱陶しいからである。だから、冬の通勤時に絞めているが、それ以外は、机の上に置かれている。腕時計と言うものは、非常に便利なものであると思うので、iPhone腕時計が風通し良く、羽のように軽ければ着けてみたいような気もする。でも、便利でしかも面白いものが常に引っ付いていると、私の心を独占して、他のことができなくなるかもしれない。何せ、弱い精神、色々と気になって仕方がない。多分連休中も、仕事や仲間の行動が気になって、スマホの電気消費が激しくなるであろう。それでは、せっかくのお休みがもったいないので、スマホも時計も、家に置いて出かけてみましょう。そうしておいて、カメラ代わりとiPadを持っていては仕方がない。まあ、無理をせず、朝の目覚ましを止めるくらいできそうだが、それも、関係なく起きてしまう悲しさか。とにかく、努力して、頭のゼンマイを緩めてみよう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11729795.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11729795