交換は「人間の存在を何か違ったものに変換していく」

交換は「人間の存在を何か違ったものに変換していく」
(日経「春秋」2015/4/3付) 2020年東京五輪を機に、神宮球場秩父宮ラグビー場の場所を交換し建て替える。周辺を大会後もにぎわう地域にする再開発計画だ。取り換えることで、新しい価値が生まれる。文化人類学者の山口昌男さんによると、交換は「人間の存在を何か違ったものに変換していく」という。言葉のやりとり、コミュニケーションに交換の起源があり、人間の社会的つながりを強める。交易や贈り物が人を結ぶ。元来別だった関係を変えて、新しくするそうだ。新入社員の彼らが最初に経験するのも、この変換効果かもしれない。名刺交換は仕事の基本だ。研修で渡し方も教わるだろうか。ちっぽけな紙片が情報網や人間関係を広げる。学生時代とは異なる世界を開き、新しい価値を生み出し、人間を違ったものに変換してくれる。
(JN) 生きものは、できればそのままが良い。周りの環境も持ち物も変化なく過ごせるに越したことはない。でも、世の中は無常ゆえ、新たな対応を要求される。それにより、新たな挑戦や交流があり、そこを生き抜いていかねばならない。もう忘れてしまったが、就職した時の緊張感と未来への期待はどうであったろう。自分に交換するものが少なくても不安はなかったが、今は違う。交換するものの価値の変化に対応ができないのか。名刺にも、書いてある事が少なくなると不安になる。今更、そんなにガツガツしても仕方ないのに、そんなにいらないのに、何でも欲しくなる。幼児化し始めたであろうか。やがて、名刺もいらなくなる時が来る。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO85236580T00C15A4MM8000/