誕生から60年を超え人気を保つ架空の生き物

誕生から60年を超え人気を保つ架空の生き物
(日経「春秋」2015/4/19付) ビルのテラスから町を見下ろす怪獣ゴジラの大きな頭部、一見すると、ビルの陰からぬっと顔だけ出したふう。第1作の準備中、東宝社内には「怪獣映画なんて」という空気があったという。本多猪四郎監督は広島で目撃した原爆の惨禍を語り、個人の力ではどうにもならない戦争というものの恐怖を作品に込めると宣言、皆の迷いを払拭した。破壊や火災といった特撮は、真珠湾攻撃などを描く国威発揚映画で腕を振るい、公職追放されていた円谷英二が担当した。ゴジラ自身、太平洋の水爆実験で眠りから覚めさせられた設定だった。誕生から60年を超え人気を保つ架空の生き物。その裏にある歴史にも目を向けると、ビルからにらむ顔の見え方も変わってくる。
(JN) ゴジラは、水爆実験で目を覚まされ、訳も分からず、暴れまくった。このゴジラはいわば被爆者(被爆獣)である。私は、どれほどの被爆福島第一原発受けたかわからないが、東日本に住む者は被爆しているのであろう。ゴジラと仲間だ。人間の驕りと欲望のために、放射能は撒き散らされる。ゴジラは、被爆により暴れて、加害者である人間がゴジラを退治しようとする、というその身勝手な振る舞い。更には、地球を守る正義の味方にさせられて葬られていく。何とも、人間はひどいものである。ゴジラは今、新宿で晒し首にさせられている。でも、ゴジラは首から上だけになっても、我々に何かを訴えかけているようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO85871650Z10C15A4MM8000/