(日経「春秋」2014/10/31付) 福島県富岡町のJR富岡駅、線路がどこにあるかさえわからないほど覆い茂ったセイタカアワダチソウ。福島第1原発の周辺では、田畑一面にセイタカアワダチソウの花が咲き、黄色いじゅうたんが広がっているように見えるという。民家の庭にも入り込み、建物を押しつぶさんばかりに生い茂る。思い出の地を埋め尽くしていく植物の波。いまなお避難生活を送る人たちは、二重にふるさとを奪われるような思いであろうか。セイタカアワダチソウは、よく知られた外来種である。植物でも動物でも、外来種は繁殖力が強く、生態系の中で悪役となっている。ただ、多くはペットや観賞用とされたり、船や飛行機に偶然閉じ込められたりして、無理やり運ばれてきたものだ。ところで、かつてアフリカの一部にしか生息していなかったのに、世界中に広がって生き物を滅ぼしている外来種はなに?
(JN) 植物も動物も、生きるために環境と付き合い、如何に生活を継続して行くか。人類は、生活できる環境を探して、世界中に渡りそこにいる生物と闘い、また近年は環境をも変えて自分たちの生活を充実しようとしたが、それが自分たちが住めない環境を作り出してしまった。特に、日本に住む者は、自然との調和を大事にしていたが、日本列島には人間は所詮外、来種である。セイタカアワダチソウよりは先住者であろうが、文句を言う筋合いではない。どちらが生き抜くかでもなく、互いに反映できるようにしたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO79120630R31C14A0MM8000/