破られている規範の代表格、優先席付近での携帯電話利用

(日経「春秋」2014/10/27付) 必要なら守られねばならない。不要なら廃止されなければならない。規範とはそういうものだ。鉄道などの優先席付近では携帯電話の電源を切る――破られている規範の代表格だろう。心臓ペースメーカーなどの医療機器に影響する恐れがある。これが規範の大義である。一方には「携帯が原因で機器に重大な事故が起きたとの報告は世界にない」(総務省)という事実がある。先に、東京工業大の1年生が「技術者倫理」の授業でこの問題を取り上げたそうだ。正解はない。世の中をよくする使命を持つ技術者は難題とどう向き合えばいいか、考えさせる狙いだという。医療機器と携帯の間が3センチ以内だと影響が出ることがある、15センチ以内なら電源を切るのが望ましい。これが総務省の見解である。わずかな距離でもゼロでない限り規範はなくせない。安全なものをつくる使命は技術者に果たしてもらおう。それまでの間、携帯やスマホをいじくりたければ……優先席には近づかないことだ。
(JN) 優先席がある事自体が情けない話であるが、それはさて置き、まずは若者は優先席に座るなかれ、否、体調の問題のない若者は通常の席にも座るな。弱者に席を譲る精神が必要だ。私たちは、人間である以上、自由と規律を考えて生きて行かねばならない。学校で道徳と言う授業があるが、最近のその科目化ことで話題が出ているが、そのことは別として、道徳的に私たちは、体力の弱い人たちに席を譲るという当たり前のことが会得されていない。また、携帯電話等の電波が問題である以上、その利用は利用者の最低限の常識とされねばならない。人を思い遣るこころを育てるために、道徳教育ではなく、家庭教育の中で伝えて行けないものか。そのためには、子供の前で大人が見本を示そう。規範となるために。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO78918970X21C14A0MM8000/