反論を押しのけて進むに五輪ほど都合のいい旗印はない

(日経「春秋」2014/10/30付) 真夏の朝7時はもう暑いが、すこし涼しくする簡単にしてとっておきの方法がある。東京五輪組織委員会会長の森喜朗元首相がサマータイム(夏時間)を導入するよう提唱したそうだ。「マラソンをしたら倒れる人がいっぱいいるんじゃないか」という森さんの言を杞憂(きゆう)とは決めつけられない。選手も大変だが沿道で応援する市民の方がむしろ危ないかもしれない。だから森提案をくさしはしないが、気になるのが「東京五輪に向けて」の発想である。サマータイムは日本でも占領下の一時期採用された。その後は何度話題になっても見送られている。そんな経緯を吹っ飛ばした「五輪に向けて」である。あれも五輪に向けこれも五輪に向け。反論を押しのけて進むエンジンに五輪ほど都合のいい旗印はないのだろう。サマータイムは人の生活にかかわる。是非はきちんと議論しなければならない。マラソンは早朝だろうとナイターだろうと、しっかり応援すればいい話だ。
(JN) 日本は、夜型の社会ではないが、夜が中心である。また、早く仕事を終えることが苦手であるから、サマータイムになったら残業が多くなりはしないか。大体、日本の7月が暑いからサマータイムにしようとは安易な発想と思ってしまう。それより、スポーツは夏にに行うものであるから、暑さの中でどうするかの対応が選手も観客もそれぞれに考えて行動すること。国が時間を動かしそこに人を当てはめるのはご免である。そんな時間の在り方より、この期間のお休みを国民が取れる仕組みを今から考えて、活用できるようにしたい。せっかくの東京オリンピック、国民全員で応援できる仕組みを考えよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO79071400Q4A031C1MM8000/