(日経「春秋」2014/10/10付) 似たような話が日本になかったわけではない。売春防止法の制定をめぐる贈収賄、世にいう売春汚職について書いた記事の中身が名誉毀損にあたるとされ、読売新聞社会部の敏腕記者、立松和博が東京高検に逮捕された事件があった。1957年(昭和32年)のことだ。記者が刑法の名誉毀損罪に問われる異常さや、逮捕の背後に検察の権力争いがあったこ。それから半世紀あまり、言論の自由という同じ価値観を持つはずの国で異常なことが起こった。韓国の検察当局が、朴槿恵大統領の男性関係に関する噂をネット上でコラムにした前の産経新聞ソウル支局長を、名誉毀損罪で在宅起訴した。領土をめぐる日中韓の確執が深刻になった2年前、国民感情に与える影響を安酒の酔いにたとえたのは作家の村上春樹さんである(朝日新聞)。「安酒を気前よく振る舞い、騒ぎを煽(あお)るタイプの政治家や論客に対して、注意深くならなくてはならない」。安酒を飲むな。安酒に酔うな。韓国を批判しつつ、そう肝に銘じる。
(JN) 大統領や首相は、有る事や無い事を書かれる。それに対して、それぞれの国民はそれぞれの考えがあり、その考えを基に行動するのは自由であろう。しかし、国家権力がそこに加わるのは如何なものか。権力が肩入れをする行為は、言論自由を操作することに当たろう。そのような行動に出なければ守れないような権力は、どんな権力名であろうか。何れにしても、私たちは、各自で情報を正確に捉えて、扇動に載せられないようしなければならない。酒に酔うのは心地よいが、押し付けの安酒は悪酔いする。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO78238460Q4A011C1MM8000/