『国は人間が創造したものです。国は土からできている・・・』

『国は人間が創造したものです。国は土からできているのではなく、人間の心でできています』

 「金曜夜の食事をしていた無防備の人々がむごたらしく殺害されたダッカのテロ」について、「余録」(毎日/16/7/4)は、タゴールの言葉を借り、この惨事を思う。「建国当初から経済協力を重ねる日本だが、世界で最も過密というこの国の課題に取り組む人々が犠牲となった。どんな善意ものみ込んでしまうテロの暴力の闇だ。タゴールにならえば国ばかりではなく世界も人の心でできている。よりよい未来を見据え、亡くなった方々の思いを引き継ぐ『テロとの戦い』もあろう。」

 人はそれぞれに、任務を背負い闘っている。だがこの闘いが殺戮に発展してはならない。お互いの考えと命を蔑ろにして、コーランを暗誦できない者は、命を奪うという行動は許されない。実行犯は末端の者ではあるが、この実行に対しては死しても裁きを受けねばならない。それよりも、この者たちを動かした指導者や死の商人をなんとかできないのか。イスラム教を悪者にしているのは誰なのか。黄金のベンガルを血で汚すな。タゴールの言うように、国は人の心で成り立っている。テロは、その心を揺さぶる恐怖を植え付ける。テロの首謀者は何の利益を得ようとしているのか。その首謀者を動かしているものは何であろうか。(JN)