『#召集令状』

『#召集令状』<2022年9月27日(火)>
 ロシアが広く国民を戦いに動員し始めたことに『春秋(220925)』は思う▼自分に届いた郵便物、新入社員が先輩に尋ねる。「これ何でしょう」「召集令状じゃないか」「召集令状って、いったい何です?」。小松左京さんのSF小説召集令状」▼受け取った男らは入隊日にふっと姿を消し、やがて戦死公報が届く。戦争を続けるもう一つの日本があるかのようだ▼ロシアの動員は特別な軍事技術や経験を持つ予備役が対象というが、ロイター通信は「反戦デモの参加者が拘束され、そのまま令状を渡された」例を報じている。国外脱出が相次ぐ。遠くの「特別軍事作戦」が戦争という素顔をさらけ出し、日常を覆いつつある▼小松さんの小説では、怪現象の原因は戦後の自由な空気を嫌う老いた超能力者の妄想だった。ロシアでは実際に妄想めいた被害者意識を抱く老人が権力を手にし、まず隣国で、さらに自国でも、ふつうの人々を先の見えない暗い道に導いている。
 (私たちは)今、他人ごとのようにロシアをみている▼権力者の誤った行動を止められない現実。独裁者の恐ろしさ。権力を長く強く持たせると国民はどうなるか▼ロシアの一般の人々を笑えないのではないか、日本の人々。過去、現状を認識し未来を創らねばならい。
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*画像は、2022年9月27日の日本経済新聞