大手企業を中心に「満額回答」が相次ぐ春季労使交渉に『春秋(250314)』は思う▼放浪の旅からふらっと戻った寅次郎、実家の裏の印刷工場に顔を出し「労働者諸君!」と▼その後の言葉は作品によって違う。1971年公開の第8作は、米政府がドルと金との交換を停止、世界経済は揺れた。「稼ぐに追いつく貧乏なし」と、まじめに働けば必ず暮らしは上向くと信じられていた▼令和のいま、中小、零細の賃上げはいかに。タコ社長も頭を抱えていよう▼「50年前の日本人は今より幸せだったんじゃないか」「未来にもっと期待していた」と山田洋次監督。だからといって、昭和の世に戻るわけにもいくまい。「それを言っちゃあおしまいだよ」。新しい好循環のモデルはいずこにあろうか。
(新聞によると)日本の倒産件数は6か月連続で前年を上回っていると。人件費の高騰が資金売りの重荷になり、小規模・零細企業などの倒産につながるケースが増えていると。またコロナ禍の手厚い資金繰り支援策で倒産を抑えられていた零細企業の資金繰りが今になって悪化していると。政府はこのままで良いと考えているのか。
*画像は25年3月11日の日本経済新聞より。