勝利なのに、主役のはずの労組は影が薄い

勝利なのに、主役のはずの労組は影が薄い
(日経「春秋」2015/3/19付) 労使交渉の結果が電話で入ってくるのを待ちながら、金属労協の職員はみんなタバコを吸っていた。1980年代の春闘一斉回答日の、そんな光景を思い出す。いまよりずっと組合の組織率は高く、存在感も大きかったのだ。それから日本経済は長い長い低迷が続く。そういう歴史を思えば、ほんとうに久々の賃上げの春到来である。きのうの一斉回答では朗報が次々に届いた。これで景気回復に火がつけばいいのだが、先行きはまだまだ楽観できないようだ。中小企業にうまく波及するか。地方ではどうか。それに往時と違い、大手だって非正規社員が増えたから恩恵の及ばぬ人が多い。しかしこれだけの勝利なのに、主役のはずの労組は影が薄い。この賃上げを引き出したのは、じつはデフレ脱却を急ぐ政府だからだろう。組合へ、ではなく政府への一斉回答? 結果良ければ……ではあるがいささか寝覚めが悪い。
(JN) 大企業の好景気は、円安によるところが大きいのか。それとも、これまでの下請け会社の努力によるか。下請けは、切り詰めるところを切り詰めての競争を行っている。いま大企業のベアとともに、その成果が下請け会社やその労働者に出てくるのか。大企業との関係で成り立っている中小企業は多く、従って、その労働者も多い。この労働者の収入のアップが大事である。いつまでも、「欲しがりません勝つまでは」と、国民を貧乏にさせておいての国家のGDPのアップさせるという構造でよいのか。企業側も、国方向を向くのではなく、労働者や国民の方向を見よ。私たちは御上頼みの国民で良いのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO84571980Z10C15A3MM8000/