日本とスイス 240529

 スイスはなぜ世界一豊かな国なのかと『雷鳴抄(240528下野新聞)』は思う▼児童文学「アルプスの少女ハイジ」で、ハイジの周囲に牛飼いがいないことに気付いただろうか。昔のスイスの農民は貧しくて大きな牛が飼えず、小さなヤギしか飼えなかったそうだ▼今、スイスのジュネーブ最低賃金は日本円で時給約4千円。日本の約4倍だが、30年前は日本とほぼ同じ水準だった▼日本とスイスの賃金格差がなぜ、こんなに開いたのか。「人件費を切り詰めて世界から取り残されたのが日本」▼スイスなど世界の主要な観光都市の多くは、宿泊税を導入している。日本では東京都や京都市などで導入済みだが、全国的にはまだ少ない。今の日本の物価はハイジにも「安い」と映るのだろうか。
 (私は)思う。戦争で兵隊を大事にしなかった日本は負けた。経済では労働者を大事にしなかったため、またもや敗戦か。国の宝はそこに住む人々である。未来は見えないが、数字の趨勢は数値の先を現す。このままでは、生まれる人は少なくなり、働く人も少なくなる。人々の生活は困窮する。それを補うにはどうするか。