香港は民主化をめぐって再び大きく揺れている

(日経「春秋」2014/9/30付) ステージではいつも艶(あで)やかだったテレサ・テンさんが、運動会の小学生のような鉢巻き姿で歌ったことがある。私の家は山の向こう……。1989年5月27日。中国の民主化を訴えていた学生らを応援するため、香港で開かれたチャリティー・コンサートでのことだ。香港のコンサートから間もない6月4日に起きた、いわゆる天安門事件だ。衝撃を受けたテレサ・テンさんはアジアを離れ、パリで暮らすようになった。42歳の若さで亡くなったのは、6年後。そして今、香港は民主化をめぐって再び大きく揺れている。今回は香港の政治が焦点だ。名ばかりの「普通選挙」を共産党政権が打ち出したことに、学生たちが反発している。この四半世紀、中国の経済は目覚ましく発展したが、政治の歩みは何とも鈍い。ひるがえって日本はどうか。25年前にピークを迎えたバブルが崩壊したあと経済は停滞してきた印象が強いけれど、政治の面では政権交代が何度かあった。序幕となったのが、89年7月の参院選だろう。土井たか子委員長ひきいる社会党が、自民党を第2党に後退させた。土井さんが逝って、改めて民主主義をかみしめる。
(JN) 一党独裁とは、物事を決めやすく、その等に所属し、その政権を運営する者には都合が良い。でも、国にしても、また会社にしても、その制度は本当にそれで良いのか。その一党が警察、軍隊、情報等を握り、国民の自由をも握ることであろう。そんな状態を何億人にも対して行うことがまかり通っている中で、小さな香港ががんばっている。これを中国政府は、1989年のように力で抑え込むのか。この香港の闘いを我々はどう理解するのか、日本政府はどう動かないのか。野党はどうなのか。すっかり動きのない野党、山も動かないこの日本、一党独裁が継続ることを国民も望んでいるのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO77733360Q4A930C1MM8000/