習主席のすさまじい腐敗撲滅キャンペーン

(日経「春秋」2015/1/14付) 路線、政策、方針、計画、完成。中国の令という姓を共有する5人の兄弟姉妹の名前。地方の幹部だった父親が、当時の新聞によく載っていた言葉を子どもたちにつけたのだそうだ。中国で広く知られるようになったのは、4人目の令計画氏が大出世したからだ。胡錦濤国家主席の側近で、政権中枢のポストに就いていた時期もある。ただ、日本など海外で有名になったのは昨年の末かもしれない。「重大な規律違反の疑い」。習近平国家主席鳴り物入りで進めてきた腐敗撲滅キャンペーンの、格好の標的になった印象だ。民主主義でないと、腐敗の広がりは押さえ込めない。1989年の天安門事件で失脚した趙紫陽元総書記は、自宅軟禁下でひそかに残した回想録にこう記した。どうも民主主義が嫌いらしい習主席は、すさまじい腐敗撲滅キャンペーンで趙氏に反論しようとしているようにもみえる。趙氏が亡くなってもうすぐ10年がたつ。
(JN) 独裁政権を強化するために邪魔者を掃除するには、汚職による粛清は都合良い。我々一般大衆には、正義に味方が悪い奴を懲らしめてくれたと見える。習近平主席は偉大なる指導者であると。これだけの大きな国家で、多様な民族を抱え、腐敗した一党独裁を支えて行くには、権力を集中させていかねばならないであろうか。しかし、どんどん資本主義の輪の中に入り込んで行く以上、資本は集中し、しかも権力も集中するとなると、爆発が起きるであろう。それが周辺民族運動であろう。中国は、自由、平等、博愛のバランスをどう保てるか、この巨大国家が大きな混乱を起こすと世界も揺れるのであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO81911480U5A110C1MM8000/