(日経「春秋」2014/1/16付) 幻の世界のようにきらめいている。北国で見られるダイヤモンドダスト現象は、たぶん本物の宝石より美しい。厳しい冷え込みが続き、北海道の陸別町では氷点下25度を記録した。九州でも動物園の亀やカピバラがストーブを囲んで暖をとっているそうだ。あるスキー場で周りが驚くほど興奮し、狂喜乱舞するグループに出会ったことがある。生まれて初めて雪を見たという東南アジアの客だった。外国人の旅行者は年間1千万人を超えた。雪あり、桜あり、紅葉あり。日本は面白いことだらけの訪問地であるに違いない。「雪あたたかくとけにけり。しとしとしとと融けゆけり」……。室生犀星。雪国出身の詩人の目には、冬景色と春の優しさが二重写しで見えていたのだろう。「木の芽に息をふきかけり。もえよ、木の芽のうすみどり」。四季に輝き、人々を魅せる宝石箱のような日本でありたい。
(JN) 日本には四季があり、南北に細長い列島であり、その中央に高い山々が聳えているので、様々な気候を経験することができ、旅行では平時と違う状況を目鼻耳肌から感じ取ることができる。それが交通網も発達しており、数時間で異なる環境に行きつくことができる。何と幸せなことか。日本人が働き者でいられるのも、そういった環境があり一日でも別世界を楽しむことができるからであろうか。これからの数週間、冬の一番厳しい時期で雪を楽しみたいが、どうか今週末は勘弁してほしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65375140W4A110C1MM8000/