なぜ前途有為の若者たちがオウムに走ったのか

(日経「春秋」2014/1/17付) オウム真理教について、米国の精神医学者、ロバート・リフトン氏は1999年に刊行した「終末と救済の幻想」で、あの教祖は全人類に対して戦争を仕掛けたのだ、と。終末論にとりつかれ、殺人もまた救済だと唱えるカルト教団サリンなどの大量破壊兵器を開発し、実際に使ったという事実は世界を戦慄させた。オウムのテロリズムは人類史的な脅威だったのだ。長い逃亡の末に逮捕された教団元幹部の公判が始まり、久しぶりに事件のあれこれが語られている。カルトと科学が結びついたときの底知れぬ恐怖を知る貴重な機会となるだろう。地下鉄サリン事件発生、教祖逮捕、膨大な件数の公判取材へと至った19年前の日々が脳裏によみがえる。なぜ前途有為の若者たちがオウムに走ったのか。さまざまな疑問を抱き続けてきたが、いまも解けることがない。禍々(まがまが)しき風景をいま一度、誰もが直視しなければなるまい。
(JN) オウム真理教阪神淡路大震災も、成人式を迎えた若もには歴史のことになろうか。私たちの生活は日々情報の山に流されていき、そしてどんなに強烈な上であろうと忘れて行く。その現実を知らないものにとっては、歴史上のことであり臨場感がないので、感情的な感覚はないであろうか。そういった客観的な立場でこの事件を裁いていくことになるのも良いのであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65434620X10C14A1MM8000/