主演は消費者であり、企業は良き道具係を目指してはどうか

(日経「春秋」2014/3/16付) 昨年のクリスマスにイチゴの売り上げを前年の3倍に増やしたスーパーがあったそうだ。タネは手描きした1枚の貼り紙だけ。イチゴと生クリーム、柔らかいチョコを使って小さなサンタの人形を作る方法を易しく図解し、売り場に掲示したのだ。いつごろからか、ネットには家庭で工夫を凝らす「イチゴサンタ」付きケーキの写真があふれている。この冬は鍋料理の上に大根おろしでクマやパンダを作るのも流行した。「消費増税後は、こうした楽しみ方が広がっていく」。そこで最後の一手間に凝り始めるというわけだ。「作品」を披露できるネットの普及もこの傾向を後押しする。企業と消費者で一緒に物を作る時代とも言える。その中での主演は消費者であり、企業は良き道具係を目指してはどうか。日野さんはそう助言する。
(JN) 大量生産の低価格商品の押しつけの時代から、日本市場はどのように変わっていくのか。それを決めるのは私たち消費者だ。形のある商品、サービス商品、金融商品など、それぞれの商店がそれぞれの消費者と向き合って、競争が繰り広げられる。そこには信用が大事である。それは地域社会なら可能であろうが、昔ながらの地域の商店が潰れていくところでは、どうしていくのか。ネットが発達した現在、ネット上での信用が確立して行けば、消費者を主演の「作品」が続々と出てくるのではないか。無駄なく楽しい買い物ができる工夫をそれぞれの立場で作って行けば、私たちの暮らしは、まだまだ大丈夫ではないか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO68374830W4A310C1MM8000/