「事態は重大だが深刻ではない」

(日経「春秋」2013/2/27付) 「うちの子は運動神経が鈍い」。日本なら周囲から「水泳かテニスでもさせたら」と忠告されるだろう。イタリア人だと、例えば「よかったね。その子はたぶん、本を読む子に育つわ」というふうに。彼此(ひし)のかくも大きな差、総選挙の結果を知り、改めて差が身にしみたのは日本だけではなかろう。スキャンダルにまみれたベルルスコーニ前首相の勢力などの健闘で、イタリア政治は混沌に陥る気配だ。自前のメディアを利用して存分に自らを売り込み、「反緊縮」を旗印に減税だ税金の払い戻しだとばらまきを約束する。弁は立つし、76歳にして見ようではチャーミングだ。かの国ではことに臨んで「事態は重大だが深刻ではない」と考える、とイタリアの新聞が書いたことがあった。財政危機の現実と選挙結果を並べると、寸評はぴったりである。どうやらイタリアの人々は、まわりが気をもむほどには国やユーロの将来を深刻に案じてはいない。もちろん「よかったね」とは言わぬだろうが。
(JN) イタリアは良い。EUにおいて、ドイツががんばっても、イタリアはイタリアである。日本はどちらかと言えば、ドイツのように一生懸命働き自分たちの生活をよくして来た。ジャガイモ、ウインナソーセージ、ビール、ポルシェ、ベルリンも良いが、ピザ、スパゲッティー、ワイン、フェラーリ、ローマはもっと良い。しかし、こんなちょい悪オヤジ(いや相当の悪オヤジ)の為に円高になったり、腹が立つ。でも、イタリヤは羨ましい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52188070X20C13A2MM8000/