政治をめぐる議論の声音は一段と高くなっているだろう

(日経「春秋」2014/2/18付) 「北からおりてくる列車は花の匂いがするが、北へのぼっていく列車は汗の匂いがする」と開高健(「夏の闇」)。欧州連合(EU)が抱えてきた南北問題まで垣間見る気がする。北の代表がドイツなら南の大国はイタリアだろう。メルケル首相が9年目に入ったドイツと毎年のように首相が代わるイタリアは、それだけで対照的なのだが、そのイタリアに39歳の首相が生まれるという。「旧世代をスクラップする!」と改革を訴えるマッテオ・レンツィ氏。「壊し屋」と称される新世代の旗頭である。ベルルスコーニ元首相は昨年11月に脱税で国会から追放された。レンツィ氏の年齢はちょうど半分、国民は待望久しい若きカリスマを見いだしたのか。開高健は北へのぼる列車の光景を「人びとは声高くしゃべったり、叫んだりし……」と描いた。車内に限らぬ。政治をめぐる議論の声音は一段と高くなっているだろう。
(JN) リーダーシップを発揮する指導者であろうと、神輿に乗って「よきに計らえ」とする指導者?であろうと、ころころ変わっては堪らない。イタリアだけのことではなく、我が国もそうである。やっと我が国は安倍首相が1年以上となったが、今後どうであろうか。大人しく神輿に乗っていないので、摩擦が大きいのは困ったものである。アジアは、特に東アジアが世界の核となるために、日本だけのことを考えるのでなく、この地域のバランスと発展を考えてほしい。但し、戦前の考えは持ち出さないように、議論を繰り返し新しい世界を創って行きたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO66980880Y4A210C1MM8000/