時の首相の考えで決まるのがこの賞

(日経「春秋」2013/2/26付)
 生前に直接手渡してあげられたらどんなによかっただろうか。昭和の大横綱大鵬の故納谷幸喜さんに対する国民栄誉賞の表彰式が、きのう首相官邸であった。これまで個人として受けた20人のうち、亡くなった後で受賞が決まったのは、納谷さんで12人目になる。古賀政男美空ひばり渥美清黒沢明……。天国に届けというのであれば、やはりさびしい気がする。だが結局は、時の首相の考えで決まるのがこの賞でもある。授賞の明確な基準はなく、いつも政権の人気取りが疑われる。「まだ現役で発展途上」。そういって2度にわたり辞退したメジャーリーガーのイチロー選手もすがすがしく、「もろたら立ちションもでけへん」と断った世界の盗塁王福本豊さんのエピソードも愉快だ。受賞しようがしまいが、夢や感動を見せてくれた人たちの物語が、この先も伝え継がれていくことに変わりはない。
(JN) 亡くなってからの国民栄誉賞、残った家族等はうれしいし、我々もうれしい。でも、どうなのであろう。首相やその政府・与党の点数稼ぎには、亡くなった方の受賞が無難で、批判もなかろう。その趣旨、広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること、とある。であれば、首相の栄誉賞ではないのだから、その希望を与えた時にその人に渡したい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52140500W3A220C1MM8000/