人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける

(日経「春秋」2013/2/28付) 「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける」。出会いと別れの季節が、まためぐってきた。平安時代までは「花見」といえば、桜の下で騒ぐのではなく、静かに梅を眺めることだったそうだ。卒業や転勤で慌ただしい時期だからこそ、梅を愛(め)でる古人の心を思い出したい。学問の神様をまつる東京の湯島天神は、今が恒例の「梅まつり」の盛りだ。紅白の枝の下に合格祈願の絵馬が幾重にも連なる。今年は8万枚が奉納されたそうだ。競い合うライバルかもしれない。その中に埋もれて、ちょっと調子が違う一枚があった。「街の人々が安全でありますように」。ある田舎町の警察署員だった。学問や試験とは関係ないけれど、梅の花に似合っている気がした。
(JN) 花粉症の当方には、梅の花見は賛成である。それに梅には力がある。寒さの中で、咲き始める梅が春を呼ぶ力がある。他力本願、神頼みも良いが、梅を楽しむ心が大事だ。ところで、神は公平に皆に力を与えるであろうから、合否は結局、それれぞれの者の力次第であろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52236920Y3A220C1MM8000/