「ノーヒストリー!」「ノーフューチャー!」

(日経「春秋」2013/9/25付) 落ちぶれ古豪クラブと新興有力クラブのサポーターの野次。「ノーヒストリー(歴史なしだろが)!」「ノーフューチャー(未来なしだろが)!」。古豪クラブがヨーロッパと二重写しになる。古豪は二度の大戦に疲れ果てていた。それ以降の歩みは、いってみれば「未来なし」のチームが未来を取り戻す試みであった。その主力が、皮肉なことにヒトラーの狂気を生んで古豪没落にダメを押したドイツだったのである。ドイツ連邦議会選挙でメルケル首相率いる与党が勝った。ドイツの首相はドイツ一国にとどまらぬ、欧州全体の主将格でもある。2005年から守り続けるその座を人に譲ることは当分あるまい。未来を取り戻す試みの成果だろう。欧州連合(EU)は28カ国まで拡大し、単一通貨ユーロ圏に属する国も17を数える。ばらつきがあるメンバーを励ましと叱咤(しった)でまとめていかねば、とたんにノーフューチャーの烙印(らくいん)だ。メルケル主将の役どころはなかなかしんどい。
(JN) 「ノーヒストリー!」「ノーフューチャー!」であろうと、もうあのような戦争を再度起こしてはならない。異質の群れを一つの囲いに入れることは至難の業ではある。しかし、何を言われようとメルケル首相?主将?にまだまだ頑張ってもらわねばならない。これ、日本の首相は見習えぬものか。我が国も、近隣国との摩擦を終わりにして、閉鎖的ではない東アジア連合を考えられないであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60147280V20C13A9MM8000/