悩まず生きるには、多様な考えに触れる本は邪魔だ

  • (日経/春秋 2012/6/9付)東京・神田駿河台明治大学で、発禁本の展覧会が始まった。主に戦前、政府に販売を禁じられた本がずらりと並ぶ。労働詩集あり探偵物あり恋愛話あり。読書それ自体が禁じられた社会を描くSF小説が、先日亡くなったレイ・ブラッドベリ氏の「華氏451度」だ。悩まず生きるには、多様な考えに触れる本は邪魔だと説く。単純な「権力対民衆」という話にしなかったのが作家の見識だ。なぜ、という問いを捨てて幸福に暮らし、読書家を告発する。出版は1953年。非難と密告が飛び交う米国の赤狩り時代だ。「いまの状況と似ている」と述べる。みんなが何か腹を立てる相手を探している、と。これは米国の話だが、日本ではどうだろう。多様な本が、多様な目をはぐくんでいるだろうか。

=>(JN)知らないということは幸せであろう。また、知っていることも幸せであろう。それを選択できないのは不幸である。いや、幸せであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42386020Z00C12A6MM8000/