働きながら子育てできる社会に

(日経「社説春秋」2014/5/5付) 「仕事と子育ての両立」が社会の大きなテーマになって久しい。両立支援のために、保育サービスを拡充することは大切だ。それと同時に、職場が変わっていくことも欠かせない。男女ともに働きながら子育てできるようにすることが、日本社会を活性化する力になる。官民あげて、今こそ取り組みを加速させるときだ。女性の就労は、将来の労働力不足を緩和するだけでない。多様な人材が活躍する職場は、より柔軟で新たな価値を生み出しやすくなる。真の両立支援のためには、職場を土台部分から変えていくことが大切だ。業務の進め方を見直し、無駄な仕事を省き、長時間労働にメスを入れる。共働きの妻とうまく分担ができれば、女性の活躍を後押しすることにつながる。専業主婦家庭であっても、男性が育児に関わることで妻の負担が軽減されれば、子どもにもよい影響を与えるだろう。更には、高齢化に伴い、今後は仕事と介護の両立に直面する社員が増える。学童保育を、もっと増やすことも大切だ。子育てを機に家庭に入り、再就職先が見つからない女性は多い。再就職や学び直しの支援を充実させていくことは大切だ。15年度から待機児童解消などを目指した新しい子育て支援制度が始まる。消費税増税分から約7千億円が投じられる予定だ。企業に子育て支援の行動計画づくりを求めた時限立法「次世代育成支援対策推進法」も、15年4月から10年間の延長が決まった。長時間労働の見直しなどが進むよう、実効性を高める必要がある。働き方を変えることも、保育サービスの充実も、決して簡単なことではない。しかし子どもの健やかな育ちを支えるためにも、もはや一刻の猶予もない。
(JN) 私たちは、今の生活からここ20年、そして未来の在り方をどう考えるのか。私たちは、何を幸せとして、生きがいを見出して生きて行くのか。見本となるような国はないのか。それの答えを出すのは難しく、常に問答して行く事なのかもしれないが、ある程度の柱が無ければ、その場しのぎが続くこととなる。それでも、まず言えることは、民主主義を続けていくのであれば、資本主義社会を充実させることであり、そのためには働き手がいなければならない。資本自身は独自で、新たな働き手を産むことはできないので、私たちはその働き手を、現在、そして未来に亘って確保しなければならない。現在の働き手を増やすためには、プールされている労働力候補を市場へデビューさせることである。それは、働きたくても働きに出られない女性である。また、未来には、働くために子供を産まない家族に、子供を安心して産むことができる条件づくりである。それは単に、保育所等の整備だけではなく、家族から国民までの生活の在り方というもの自体が変化して行かねばならない。それは何だろうか、労働環境における男女格差、高齢者の在り方、地域の在り方、トコロテン式教育制度の在り方、などが全体平等から個々を活かす平等に変わっていかねばならない。或いは、この島の中にいつまでも引きこもっているのではなく、華僑のごとく東南アジアそして世界へ出て行っても良いのではないか。私たちは、この小さな国土に縛られて水田を耕すことは、もう難しい。そのためには、他国を劣等者呼ばわりするような貧困な精神から脱し、自国に誇りを持った子供たちを育てたい。そのためにも、自由な心を持った母親の支援と保育施設の整備は欠かせない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO70788470V00C14A5PE8000/