冤罪(えんざい)はどこに潜んでいるかわからない

  • (日経/春秋 2012/6/8付)将軍家の食事をつかさどる江戸幕府台所頭、鈴木喜左衛門がある日、切腹を命じられた。家光が鷹(たか)狩りに行った先で出された昼食の吸い物に砂がまじっていたのが理由である。ところが喜左衛門は敢然と抗議する。砂は強風のせいで家光の口やひげについたもので、料理に入っていたものではない。口をすすぎひげを洗ってもう一度ためし、まだ砂がまじっていたら切腹でも何でもする――事実は喜左衛門の言うとおりだったと。冤罪(えんざい)はどこに潜んでいるかわからない。東京電力女性社員殺害事件で、無期懲役判決が確定して服役中のネパール人受刑者が求めていた再審を認める決定が東京高裁で出た。「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」が見つかった、と決定は明快だ。裁判所の決定に異議を申し立てた検察には、重々考えていただきたい。家光は喜左衛門の態度を多とし、褒美として200石加増した。乱暴な決断も早いが、非を認めて正すのも早かった。

=>(JN)冤罪にもそれが起きたことに様々な理由があろう。今回の真犯人はどこに隠れているのか。佐野眞一氏は次に何を教えてくれるのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42332080Y2A600C1MM8000/