「夏の生活スタイル変革」キャンペーン「ゆう活」、悠、友、遊、優

「夏の生活スタイル変革」キャンペーン「ゆう活」、悠、友、遊、優
(日経「春秋」2015/5/16付) ゆうやけ時に/悠々とした時間が生まれる。/友人と会える。/遊ぶ時間が増える。/家族で過ごす優しい時間ができる――。政府による「夏の生活スタイル変革」キャンペーンのキャッチコピー。「ゆう活」。悠、友、遊、優、安倍首相の肝煎りで中央省庁で朝型勤務を実践し、民間や自治体にも奨励するという。だけど本当にそううまくいくの、といぶかしむ声は少なくあるまい。政府の起床ラッパで国民一斉に、とはまいらぬ時代なのだ。遅寝早起きなら先進国最短レベルの睡眠時間がなお短くなる。まだ日の高いうちから生ビールを干す快感。それを一杯二杯で止めて帰れるかい、とうそぶく飲み助もいよう。
(JN) 夕方に、友人と、あるいは家族と、悠々としたいのは山々であるが、働かなくては生活は儘ならない。働く時間まで国家統制したいのかと、臍を曲げたくなる。それに、早く出勤しても、労働時間は短くなるのだろうか。尚更働けそうだ。それにより、更なる睡眠不足になりそうである。庶民は、借金に追われる。住宅や自動車のローンを返さねばならないから、遊んでなどいられない。仕事場での実績を上げて、給与を上げなければならない。労働時間が終わったからと、さっさと帰れば、クビになっていまう恐怖がある。そんな庶民のために、ありがたくも「ゆう活」なんて、誰が考えたのか。でも、私たちの夜更かし労働型の生活のリズムは、変える必要がある。そのためには、単に時間枠を強制してもダメである。何よりも、いまを楽しむ精神を持たねばならない。それがわかれば苦労はないが、一つのことで解決する問題ではない。とりあえず、月一回でもいいから、本当に仕事を定時で終えて、自分の楽しむ時間を創ろうではありませんか。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO86884300W5A510C1MM8000/