国家公務員の朝型勤務より、議員の整理を

国家公務員の朝型勤務より、議員の整理を
(毎日「余録」2015年05月17日) 世界文化遺産への登録勧告で脚光を浴びる韮山反射炉を築造した江川英龍は江戸幕末期の代官だった。今になぞらえれば、スーパー公務員とでもいうところか。だがその英龍、あまりの激務が命を縮めてしまったとの見方がかねてある。体調を崩し、1855(安政2)年に満53歳で世を去った。「江川文庫」学芸員の橋本敬之さんは「一種の過労死ではないか」と言う。安倍内閣は国家公務員の勤務時間改革に取り組んでいる。首相は朝型勤務を「生活スタイルの変革」として、民間や自治体も巻き込んだ国民運動を展開すると意気込む。しかし、残業で逆に仕事がきつくなったり、早起きで睡眠不足を招いたりしないかとの不安もつきまとう。仕事だけの人物ではなく、健康を損なわず、仕事と生活の充実を両立できるような社会づくりこそ「ワーク・ライフ・バランス」時代の政府の役割であろう。
(JN) 日本は、未だに国家繁栄、経済優先である。国が繁栄することは、どういうことなのであろうか。それは、そこに住む人達、一人一人が健康に生活であってこそである。その人の健康や命より、仕事やお国が優先され、家族との時間はどうなているのか。更には、お国においては、政治家のための政治である。仕事への誇りを持ち、働くことの大好きな国家公務員のおかげで、私たちの生活が維持されているが、彼らもただの人であり、江川英龍氏と同様に過労死の可能性もあり、また家族との幸せを削り、身も削っているのである。従って、国家公務員の労働時間を朝型にしても、仕事の量が同じ以上、帰宅が1時であったのが0時になるに過ぎないであろう。彼らの仕事は、議員や閣僚の仕事もしている。要らない議員も要る。そういった整理が必要だ。まずは、議員自ら自己を整理できないか。そして一方で、「ワーク・ライフ・バランス」を自ら創造していくことだ。それは、働く側が要求することで、上から落としてくることではなかろう。
http://mainichi.jp/opinion/news/20150517k0000m070098000c.html