(日経「春秋」2015/1/7付) ぽつりぽつりと遅れて届いていた年賀状もそろそろ尽きた。どこか知らない場所で、始動ボタンはもう押されている。加速する時間に追いつこうと焦る自分がここにいる。フィギュアスケートの解説者が「ジャンプが成功するかどうかは助走で8割は分かります」。氷から足が離れるその瞬間までの姿勢、速度、角度、そして顔の表情から読み取れる「気」の流れ。懸命に走る通勤電車を、ほんのわずかな加速の差で新幹線がゆっくり、ゆっくりと抜いていく。助走する新幹線には「気」が満ちている。さて新しい年に向かう自分はどうか。日本経済はどうか。安倍政権を試すかのように、株価が下がった。ジャンプのポイントを外せば、大切な国のお金が無駄になりかねない。英語にこんな格言がある。「もっと遠くまで跳びたいなら、ちょっと後ろに下がるとよい」。狙いを定めて冷静な助走をしたい。
(JN) 先人は、闘いに出て行くにあたっての教訓を残してくれている。その多くは、準備が大事であることを述べている。飛び出す時点がどの瞬間であるか分からないが、その前に考えられることの準備がされていないと、目的は達せられない。現実の世の中は、どんなことが待ち構えているかがわからないから、尚更、十分な準備の上で、できる限りの予測をしなければならない。そして、目的と目標だ。私たちの暮らしをどのようにしていくべきなのか。過去と同じことを望んでも、過去には戻れない。未来の目的を定めて、助走をしたい。安倍政権がどんな日本を望んでいるかはわからないが、まずは個々の私たちの小さな目標をどのように定めるかは、正月が終わっても良く考えて、目的に近付いて行こう。変えるのは、彼らではなく、私たちである。但し、準備ばかりしていてもだめだ、飛び出そう。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO81657650X00C15A1MM8000/