(日経「春秋」2014/11/1付) 逃げ場がなく常識外れの不利な布陣、「背水の陣」のように、経済の分野でも当局が意表を突くことがある。想定外の発表があれば、市場関係者の心理に影響を与える。日本銀行の追加緩和もまさかの決定だった。日経平均株価は大幅に上昇し、約7年ぶりの高値をつけた。「物価目標の2%の実現を確かなものにしたい。今が正念場だ」。黒田東彦総裁は発表後の会見で、心理的効果を強調した。悲観が広がるのを早めに食い止めたいとの思いがにじんだ。市場の不意は突いたが、効果が続くかは不確か。米国の量的緩和の終了でさらに円安が進めば企業への影響も心配だ。妙案も裏目にでれば、まさかの事態を招く。そのときどうするか。打つ手はあまり残っていない。まさに「背水の陣」である。
(JN) 背水の陣は、攻撃的な作である。陣営を崩さず、積極的に攻撃をする。これは、日本経済においては金融政策だけで行っても、陣営は直ぐに崩れて、相手の攻撃が食い込んできてしまいます。借金だらけの為体、この政府の尻拭いのための緩和策ではない。背水の陣で、愚図ついている安倍部隊にげきを飛ばしたこの黒田策であるから、これを受けて、消費税率を来年10月に10%に上げるか判断のしどころなのであろうか。このままだと、時機、せっかくの策は、空しく有効性をなくして行く。しかし、背水の陣を徹底しても、それが良い結果をもたらすとは限らない。安倍政府は、何を目的として目標設定をしているのか。自分たちの政権の延命のためであるとしたら、消費税率のアップはどちらなのだろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO79185430R01C14A1MM8000/