もともと道はない。歩く人が多くなればそれが道になる

(朝日「天声人語」2015年1月8日) 『黒の試走車』、マイカー時代の扉が開き、自動車業界の火花が激しさを増す高度成長期。新車開発の秘密情報をめぐるサスペンスは人気を呼んだ。開発中の新型車を覆面のようなベールで隠して試走する。それから半世紀。自たトヨタの決断、世界に先がけて売り出した燃料電池車の特許約5680件を無償で開放するという。苦心の技術をライバル社に提供するのは、参入を促して市場を広げるためだ。、ものづくりを競い極める企業として、なかなかできることではあるまい。魯迅の一節を思い出す。「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」。「究極のエコカー」で走る人が多くなれば、それが道になろう。水素ステーションなどの整備は市場が広がるほど進めやすくなる。石油から水素へ主役を代えていく技術は、「希望」になぞらえるのにふさわしい道に思われる。
(JN) 燃料電池自動車が走るためには、そのための条件整備がどれだけ必要なのであろうか。その条件整備には、それなりの利用件数が無ければ、社会は理解を示さないであろうか。また、技術を革新して行くためにも、多くの開発者の競争が必要であろうか。この現在の情報社会、オープンソースの時代でもあろうか。情報を隠したり、利用に金をかけるより、とにかく市場を広げる手段の一つなのだろう。でも、約5680件の特許とは、全てのオープンなのか、肝心なところは隠しているのか、それはどうなのか? それはともかく早く、化石燃料消費から脱却し、クリーンな地球を取り戻したい。
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