(日経「春秋」2014/12/28付) NHK紅白歌合戦の第1回は1951年に開かれたと。実はその6年前、終戦を迎えたその年の大みそかに、「第0回」にあたる生放送番組があったのだという。題名は「紅白音楽試合」。2人の若手局員が新しい時代にふさわしい音楽番組を考えろと命じられた。1人は素人のど自慢を企画し、今も続く。もう1人はプロ歌手の男女対抗歌合戦を思いついたが、GHQ(連合国軍総司令部)に企画書を却下されてしまう。合戦(battle)は軍国主義的だから、という理由だったそうだ。題を「試合」に変えようやく実現にこぎ着けた。男女対等の戦いも米国式民主主義を伝える役割を果たしたと。ヒット曲が減り、紅白の視聴率もかつてほどではない。なかにし礼さんは近著で、戦争中のように全国民が知る歌などというものがある方がおかしく、今の方が健全だと説く。ただし「同時にそれは作品に力がないことも示す」とも。今年の紅白はテーマに全員参加で歌おうと掲げた。今の時代の希望を描けるか。
(JN) なぜ、大晦日の夜に、何時間も歌合戦を観なければならないのか。せっかく家族が集まり、いろんな思いを語る時間に、大衆音楽バラエティーをなぜ観るのか。テレビなんか点けないで、家族想い出合戦でもしたらどうだ。しかし、私たちの家庭からテレビは切っても切れないものなのであろうか。戦後の高度成長はテレビとともにあり、居間に集まった家族の一員であるテレビは、家族みんなとともにあるためにも、この紅白歌合戦が流れているのがちょうどよかったのであろうか。この時間は、一家が昭和に戻るのか。日本人は、歌が好きなのか、いや人は歌が好きないのか、世代を共有できるもでもあり、同窓会でも2次会3次かはカラオケでその時代を蘇らせる。紅白歌合戦は、それぞれの時代を大事にしてくれるところが良いのか。否、私は観ていないから知らないよ。観ないよ。今年も観ないよ。でも、でもどっちが勝つのかな。
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