「お家騒動」、争いが続くと悲劇を招く

「お家騒動」、争いが続くと悲劇を招く
(日経「春秋」2015/2/28付) 「リア王」は辛口のホームドラマでもある。「お前なぞ生まれてこぬほうがよかった」。激怒した王は誠実な三女を追放する。その陰で長女は父のむら気を嘆き、次女と反乱を企てる。大塚家具の「お家騒動」での父娘の発言は劇中にあっても違和感がない。社長を解任された父は「いくら言っても聞き入れない。社長にしたのが間違いだった」と娘の社長辞任を要求。娘は「創業者はいつかいなくなるものだ」と株主に会長退任を提案し、全く譲らない。株主総会に向けた委任状争奪戦も始まった。異様な光景だ。対仏戦争が起きる舞台劇とは次元が違うが、争いが続くと悲劇を招く。企業価値の下落など過酷な運命に直面するのは、社員や株主である。親子の争いは、まず家庭で解決してほしい。
(JN) 家族であればこそ、感情の高ぶりも大きい。愛している者への人の心は平静ではいられない。組織は、はじめは家族の信頼において経営されていくが、やがて家族間で意見の違いが出て来る。それが他人であれば、意見の違いがあることに感情的にならぬところだが、全ていっしょのはずの家族から違いが生ずることは、感情への影響があろう。特に、ここを作ってきたと自負する者には、許せないのであろう。これは、大きな組織であろうと、小さな家族であろうと、また、家族ではなくとも自分のことを理解していると思っていた配下のとの関係でもありうる。人の心は、理路整然と割り切れない。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO83795840Y5A220C1MM8000/