リコールの判断基準はただ1つ。ユーザーの安全である。

(日経「春秋」2014/12/8付) 企業向けに書かれた危機管理の教科書を開けば、必ず出てくるのがタイレノール事件。1982年、米国の製薬会社ジョンソン・エンド・ジョンソンの主力商品だった解熱鎮痛剤タイレノールに、何者かが毒物を混入した。シカゴ周辺で、少女ら7人が死亡する。会社は原因がはっきりしないうちからリコールに踏み切る。大きな損失を出したが対応は好感され、ほどなく売り上げも回復する。この教訓を思い出させるのがタカタ社製エアバッグの問題である。追い詰められる形でリコールが広がり、そのたび企業イメージは損なわれる。リコールの判断基準はただ1つ。ユーザーの安全である。鉄則は「迷うならリコール」。タカタはグローバルな会社だ。商品やサービスが評価され、企業の活動が海外に広がれば広がるほど、国際的なリコールの決断を迫られる可能性もついて回る。どのように備えればいいのか。なんとも難しく、そして避けては通れない問題である。
(JN) 重大なことが起きてからのその姿勢は、企業にしても、行政にしても、やはり、その団体がユーザーに対してどう向き合うかが大事であろう。資本主義社会は信用で成り立っているわけだから、その信用を失うことはできるだけ避けたいし、ユーザーあっての仕事であるから、そのユーザーを大事に考えないように思われることは致命的だ。欧米社会は、誤りを認めることは罪を認めることであろうが、やはり人相手のこと、誠意のスピードは大事なのだろう。世界は、日本人の感覚ではないが、誠意を忘れてはならない。世界で生き延びて行くために、コミュニケーションの感覚を要請して行くことが必要であるし、人の命が一番であるという基本を忘れてはならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO80623260Y4A201C1MM8000/