(日経「春秋」2013/9/24付) 「まさか」「なんとガンコな」。1995年5月31日、青島幸男東京都知事が翌年開催予定の世界都市博覧会を中止すると宣言したとき、世の中はたいへんな驚きに包まれた。あれから18年。会場になるはずだった東京臨海部が久々に熱い。2020年五輪の施設が集中するからだ。先週発表された基準地価をみると、東京の土地デフレは終息の気配だ。それに加えての湾岸開発熱なのだが、さて、ここはちょっと冷静になってもいい。五輪閉幕後はマンションとして売られる運びの巨大な選手村ひとつとっても、実際にそれだけの需要があるのかどうか危ぶむ声がある。人口減少は東京でも確実に進む。そういう目で五輪計画を見わたせば、新しい施設がほんとうにこの規模で必要なのかどうか気になってくる。あの都市博中止は「まさか」ではあったけれど、背景には、持続可能な未来を考えはじめた社会の流れがあった。
(JN) オリンピックは花火のように打ち上げてドカンで終わりではない。それはわかっているのであるが、もうイケイケである。オリンピックだけでなく、時の人となり行政を動かす者は、私はこんなことをしたというのが欲しいのである。都の長であれば、都民が暮らして行くためのよりよい環境作りであろう。でも我々はサーカス的なことが大好きで、大騒ぎを直ぐにしたくなるが、我々が個々に持続可能な未来を考えねばならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60090420U3A920C1MM8000/