(日経「春秋」2013/3/30付) 「長野行新幹線」という呼び名が、かつてあった。まだ本来の北陸新幹線とは呼びかねるからとJRがひねり出した苦肉の策だ。やがて「長野新幹線」に落ち着いた。それから16年、再来年の春にいよいよ金沢まで延伸・開業するのに伴い「北陸新幹線」と呼ぶかどうか論争が起きている。われらが鉄道をなんと呼ぶか、その土地その土地の思惑が絡みあっている。「北陸」「長野」騒動の背景には、政治色もただよう事情あるようだ。しかも「北陸」にこだわる声のなかには、将来の関西延伸にはせる思いもこもっているようだ。狭い日本、なのに造りだしたら止まらぬ新幹線の魔力はいっこうに衰えない。
(JN) 名称は大事である。その短い数文字でその中身をイメージする。長たらしくならずに、如何なる名称にするか。路線名はいわば組織名であるので、そのこだわりはまた強いであろう。また、信州、越後、越中及び越前は歴史的にも仲良くできそうにない。日本は狭いし、我々日本人の了見がまた狭い。我々は土地と離れることもできない。ご英断を待つしかないか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53392420Q3A330C1MM8000/