判決が確定してしまうと選挙事務が混乱するからだと

(日経「春秋」2013/3/29付) ばくちに負けない方法の第一は、やらないことである。もう一つ、やり続けるという方法がある。続けている限り負けは確定しないから、と。そんな愚を思い起こすのは不謹慎だろうか。認知症や知的障害のある人が財産管理などのため成年後見人をつけると、自動的に選挙権を失う。その決まりは憲法に違反すると言った東京地裁の判決に対し、政府が控訴した。負けは覚悟のうえで判決の確定を先延ばしにするのが目的のようである。判決が確定してしまうと選挙事務が混乱するからだという。法を正して事務に支障がなくなるまでは本来なら投票できる人の選挙権を奪うというむちゃになる。発想が逆である。民主主義の根っこにある選挙権を質に入れてずるずる勝負をするようでは、信頼というなけなしの財産はあっという間に底をつく。
(JN) 公的な事務だけでなく、発想が逆になることがある。何のためにあるのか、そのことを横へ置き、その作業をどうするかが優先になってしまう。予算や規則が優先され、本来のその目的を見失ってしまう。選挙権は民主主義の根幹であり、そのことを政治家は放っておくのか。行政の行動に政治家が物申すべきではないか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53350140Z20C13A3MM8000/